先便は、小笠原にかかった低気圧により海が荒れて、入港日以外のツアーは中止となってしまいました。
でも、今便前半は、久しぶりの凪です。
さて、どこを走りましょうか。

と迷う間もなく、出港してすぐ、ハシナガイルカの情報が入りました。 向かいましたが、すでに4隻の船がいたので、先に近くにいたクジラをウォッチしましょう。
親子とエスコートの3頭のザトウクジラです。
親子はぴったりと寄り添って泳いでいます。

クジラをウォッチしていたら、ハシナガの群が合流しました。
ハシナガが、なにやらクジラたちにちょっかいを出しているようです。
子クジラは泳ぎ回るイルカが目障りなのか、尾ビレや胸ビレでしぶきを立てます。
アダルトたちも深くは潜らず、頻繁に浮上してきます。
私たちからしたら面白い光景ですけど、クジラにしたらいい迷惑でしょうね。

じきに、ハシナガイルカはクジラを構うのに飽きたのでしょうか。
離れて、北に泳ぎ去りました。
クジラも、うるさいイルカがいなくなって落ち着いたのか、ようやく尾を上げて潜っていきました。

今度は、先ほど離れていったハシナガイルカを見に行きます。
近付くと、舳先に寄ってきました。
まだ小さな赤ちゃんイルカの姿も見られました。
40頭ほどのイルカは、やや広がりながら泳いでいきます。
ときおり、得意のジャンプも見せてくれました。

イルカと分かれて船を南に走らせると、またブローがありました。
2頭のアダルトのクジラたちは、呼吸を繰り返していました。
そのすぐ沖にも、また別のクジラが1頭います。
どちらも、次々に潜っていきました。
おや、1頭の尾の左側が、クルンとまるまっています。
特徴的で、個体識別も容易にできそうです。

南島の扇池を覗くと、穏やかです。
久しぶりに泳いで上陸しましょう。
去年の台風で埋もれたり流されたりしていたマイマイの殻も、たくさん露出していました。
半年かけて、ようやく以前の南島のさまに戻りました。

南島瀬戸に回り込み、ジョンビーチで昼休憩をとりました。
生憎の曇り空ではありますが、海底のサンゴダストはやはりキレイです。

食後の休憩もそこそこに、イルカの情報を受けて、早めにアンカーを上げました。
急いで、万作浜へ向かいます。
果たして見つけられるかと不安でしたが、イルカたちはまだいてくれました。
早速、泳ぐ準備をしてエントリーします。
3頭のミナミハンドウイルカで、うち1頭はまだ子どもです。
岸寄りの浅いところで、透明度も抜群に良いです。

子イルカが回って遊びます。
サンゴを背景に、イルカたちと並んで泳げました。
彼らはヒトに興味を示したかと思うと、サカナを追い始めたり、ヒトに飽きて潜ってしまったり、行動が次々変わります。
やっぱり、イルカって気分屋です。

スイム後は、キャベツビーチでスノーケリングタイムです。
皆さま、海に入られると、なかなか船に戻られません。
ユウゼン玉を見つけたかたもいらっしゃいましたし、カメスイムをされたかたもいらっしゃいます。
それぞれで、海域公園の景色を楽しまれていました。

西島の北西沖に、ザトウクジラのブローを見つけました。
親子とエスコートの3頭で、ゆっくり移動しているようです。
小笠原では何も食べていないアダルトたちは、さぞ痩せてきたことでしょう。
成熟オスのクジラにとっては、そろそろ恋の終盤戦になるのでしょうか。

遠くでブリーチが始まりました。
急いで走る船上から、海面上に跳び上がるクジラの全身がはっきり見えます。
続くブリーチに、歓声が何度も上がります。
船が近付く頃には、どうやらクジラの動きも一段落したようです。
並んだ大きな背と小さな背を見せて、親子クジラが呼吸しています。
アクティブだったのに、やや神経質らしいその親子は、沖に向かって泳ぎ出しました。
帰港時刻も迫っているので、私たちもクジラたちに背を向けて、港に戻りました。

今日は、ザトウクジラ・ミナミハンドウイルカ・ハシナガイルカの三鯨種に会うことができました。
贅沢を言わせてもらうなら、これで太陽が出てくれていたら、完璧だったのになあ。(NAOMI)