ウェザーステーションから見下ろす西側の海は穏やかです。

出港し、ガイダンスを終えたとたん、マンタに出会いました。
春になると、エサを求めて湾内にやってくるマンタをしばしば見ます。
急いで泳ぐ準備をし、エントリーします。
マンタの口ビレの周りには、餌のおこぼれを狙っているらしいたくさんの小魚が集まっていました。

マンタスイムのあと、イルカの情報が入り、そちらに向かいます。
ウェザーステーション下に4頭のミナミハンドウイルカです。
入ってみると、ヒトと遊ぶつもりは無いようで、すぐ側を通っていきます。
でも、スイムしているうちに気分が乗ってきたのか、次第に目を合わせて回ってくれるようになりました。

潮が高いうちに、南島へ泳いで上陸しました。
晴れて景色が美しい上に、心地よい風を受けて快適な涼しさです。
サンゴダストの浜をキャンパスにして、雲が流れていくさまが鮮やかに映っていました。

サメ池の前にミナミハンドウイルカがいました。
5頭のイルカが、白砂を背景にした明るい海を泳いでいます。
順繰りに、泳ぐ私たちに寄ってきてはくるくると回ります。
どのイルカもフレンドリーで、初めてのかたもイルカたちと遊んでらっしゃいました。
潮波に入ったイルカたちは波乗りを始め、あっちに向いたりこっちへ泳いだり動きが読めなくなりました。
どうにかタイミングを合わせて入っても、飽きっぽい彼らはもうヒトに興味がないようです。
それでも、すでに充分楽しませてもらいました。
大きな波と戯れているイルカたちから離れることにしましょう。

ジニービーチジョンビーチを眺めて、北へ走ります。
烏帽子岩の沖でブローを見つけました。
やや小柄なクジラで、おそらくヤングアダルトでしょう。
その体は多くの傷で白っぽくなっていましたから、好奇心旺盛な性格なのでしょうか。

義兵岩の辺りに飛沫が上がりました。
子クジラがジャンプしていて、母クジラとエスコートがついています。
元気な子クジラは、跳びながら南下してきました。
いったい何回跳んだのでしょう、飽きずに繰り返しています。
ひねって背面になったり、そのまま腹打ちしたり、胸ビレを翻したり、さまざまな跳び方です。

気が付くと、クジラの近くにミナミハンドウイルカの背ビレがあります。
5~6頭ほどいたでしょうか、クジラたちの前や後ろを行ったり来たりしています。
きっと、水中でクジラにちょっかいを出しているのでしょう。
それに反応してか、子クジラは跳ぶのをやめ、今度はエスコートがアクティブになりました。
胸ビレを出したり、体を横にして尾ビレを半分出したり。
それでもまとわりつくイルカに嫌気が差したのか、エスコートは親子と別れて沖へ泳いでいきました。

さて、それではお昼に向かいましょう、と思ったら、また別の背ビレがありました。イルカです。
3頭のミナミハンドウイルカはどうやら寝ていたようです。
近付いてても、こちらをスルー。
1頭が海面でヘッドスラップを見せましたが、もしかしたらうるさがっているかもしれません。
2回泳いであきらめ、このイルカたちから離れました。

ようやく、兄島海域公園のキャベツビーチに到着しました。
午前中が盛りだくさんだったので、もう13時になってしまいました。
待ちかねたお弁当タイムをとり、そのあとはスノーケリングです。
例年よりやや水温が高いせいか、案外長い時間泳いでらっしゃいました。

滝之浦から人丸島を抜けたところで、2隻の船が停まっていました。
さてはクジラか・・・? と思うや否や、子クジラのブリーチです!
私たちもお邪魔しましょう。
この子クジラも、連続ジャンプを見せてくれました。
その顔の右にピンク色の丸い突起物が付いていましたが、あれは何だったのでしょう。
胴にも傷が多く、やんちゃな子なのでしょうか。
兄島瀬戸の西まで来たら、別の親子クジラと合流しました。
まるでママ友仲間のように並んで滝之浦へ向かい、大小のブローが2組上がります。
2組の親子が一緒にいるなんて、珍しい光景です。
いつまで仲良くしてるのかしらと見ていると、じきに、それぞれ南北に別れていきました。
やはり、ママ友のお付き合いは難しいのかな?

南に行った仮称おできちゃん(と勝手に付けてみましたが)親子に付いていくと、子クジラは、散発的にブリーチやペダンクルスラップをします。
母クジラは眠り始めたのか、動きがゆっくりになり、潜るときは尾を上げるようになりました。
おできちゃんもお母さんに合わせて潜りますが、すぐに浮上してきます。
近くで見ている船に興味を持ったのか、近付いてくるようになりました。
あまり近すぎると、さすがに母クジラがやって来て、連れて行きます。
それでもおできちゃんは、母さんの心配なんてどこ吹く風、またまっすぐ近付いて来ます。
怪我しない範囲で、このまま自由気ままに育って欲しいものです。

時間ギリギリまでたっぷりクジラウォッチをして、船は帰港しました。

今日は、イルカクジラを捜す時間もないほど出会いっぱなしのツアーでした。
ゴールデンウィークまでこのクジラ三昧の日々が続きますように。(NAOMI)