水不足の小笠原も、ここ連日の雨でダムの貯水率が10%台から20%に増えました。
なので、ツアー中に雨がぱらついても文句は言えずにいます。
今日もそんな愚図ついた空模様での、午前の半日ツアーです。

二見湾を出ると、小港沖に船がいました。 ハシナガイルカがいるようです。
70頭ほどの背ビレが、一斉に上がりました。


群はリラックスしているようで、船を嫌がっていません。
舳先に寄ってきては、そのまま併走します。
岸寄りの穏やかな場所なので、水面下の姿まで良く見えます。
時たま、思い出したようにお得意のジャンプも見せてくれました。


イルカたちから離れたその沖に、クジラのブローが上がりました。
親子とエスコートの3頭です。
クジラたちは、ブローをしながら船に近付いてきました。
揃って舳先を横切り、ゆうゆうと目の前でフルークアップをしました。
その大きく力強い動きに、感嘆の溜息が出てしまいます。


アダルト一緒に子クジラも潜っていきました。
ただ、まだ長く息が続かないので、早めに上がって来てしまいます。
小さな背ビレだけが海上に現れて、そのうち船に寄ってきました。
すぐに母クジラが浮上して、そんな子クジラを連れ戻していきます。
それから、親子とエスコートが並んでゆっくり北上するさまを見送りました。


その北にも別のブローがあります。
親子とエスコート2頭の合わせて4頭です。 呼吸を繰り返していたクジラたちが、次々と尾を上げて潜ります。
エスコート2頭は真っ白の尾ビレと黒地の両端が白い尾ビレ、母クジラは真っ黒の尾ビレです。
個体識別がしやすいクジラたちです。
エスコートは互いに牽制し合っているのでしょうか。
4頭はまとまったままで泳いでいきました。


西にも、親子2頭のザトウクジラがいます。
先程までの母クジラは尾ビレを高く上げたのに対して、この母クジラは全く上げずにいつの間にか潜ってしまいます。
子クジラも動きの向きが定まらず、浮上してくる場所がてんでんばらばらです。
どうやらこのあたりから移動する気はないようです。


それ以外にも回りにはたくさんのブローが見えています。今日はウェザーから瀬戸出口にクジラたちが高密度で集まっているようです。

さっきの識別しやすい4頭のクジラに戻ると、他のクジラが合流して増えて、7頭になっています。
うち1頭が、ブリーチしました!
それをきっかけに群れの雰囲気が変わり、一気にメイティングポッドらしくなりました。


波をかき分けて、鼻息も荒く浮上してきます。
潜るときには、尾ビレの付け根がぐっと盛り上がります。
脅すように、激しくアンダーウォーターブローをします。
群れ全体が、どんどん動いています。


早くも諦めたのか、2頭が北へ離れていきました。
子クジラを含めた5頭は、向きを変えて南下します。
それぞれの力強さを感じさせる、緊張した空気に圧倒されます。
高々とフルークを上げたのを見届けて、帰港しました。


限られた時間でも、ザトウ良しハシナガ良しの、濃縮されたツアーとなりました。
午後のおがさわら丸に乗船される皆さま、どうぞお気を付けて。(NAOMI)