ユメゴンドウ
ー Pygmy Killer Whale ー
ユメゴンドウは、体長2.3mくらいです。
全身が黒っぽく、お腹に白い模様があります。
吻先は丸くてくちばしはなく、くちびるは白です。
熱帯と亜熱帯の外洋に生息していて、日本ではとてもまれです。
1874年に初めて報告されて以来、一世紀近くも再発見されなかったために、ユメゴンドウ(夢巨頭)と名付けられました。
小笠原では、1994年6月に、Sea-Tacが初めて確認しました。
このときの行動は活発で、20〜30頭のユメゴンドウが、それぞれスパイホップやブリーチをしていました。
彼らにとっても、初めて見た船がとても珍しかったのかもしれません。
水面上に突き出した黒くて丸い顔に、白いくちびるが印象的でした。
水中に入ると、やはり白いくちびるが目立ちました。
数組の親子らしいゴンドウたちの、こちらを見ている丸い眼と口もとが笑っているようです。
まったく寄っては来ず、その笑顔のまま、すーっと深みに潜っていきました。
それ以後も、まれに外洋域で見られています。
数十頭の群れで行動しています。
98年に会ったときは、船が近付くと後ろ向きになってしまうので、同定に手間取りました。
ぷかぷか浮いたままで、休憩しているようでした。
実は、ユメゴンドウは攻撃的らしく、他の鯨類を捕食したり、飼育下でも水槽の他のイルカを殺したりするのが知られています。
まだ野生での生態や個体数などほとんど解っていなくて、どこでも非常にまれな種のようです。