小笠原の水先案内人

vol.43 2017年04月27日配信

Contents  ★派手なザトウ登場★
                ★タッキーママ★
                ★モッチーニ★
                ★ノアの大接近★
                ★こんなところにウシバナ?!★
      ★世界遺産センター★
                ★Tomocolumn 35「タイ湾のカツオクジラ」★
                ★おがさわら丸特別便★
                ★夏のツアー★

こんにちは、TOMOKOです。
ついこの前、年が改まったと思ったら、もう春です。
ザトウシーズンの開幕を喜んでいたのに、早くも終盤戦となりました。
残り少ないザトウとの出会いを、せめて存分に楽しみたいところです。

★派手なザトウ登場★
クジラ好きの誰もが気になるであろう、ザトウクジラの初確認日。昨シーズン・一昨シーズンと続けて11月13日でしたが、今シーズンはそれより10日ほど早い、11月2日でした。
見られたのは、ツアー催行中のボートからでも島内の展望台からでもなく、東京から小笠原へ向かっていたおがさわら丸からです。嫁島沖を航行中に2頭のザトウクジラが現れ、甲板に出ていた自然解説員と大勢の観光客を驚かせました。
それも、ありがちなブローではなく、いきなり特大ブリーチングで「ただいま!」とクジラが挨拶してくれたとのこと。なんてドラマチックな登場でしょう!
たまたま乗船されてたSea-Tacの常連さんも、その瞬間をしっかり目撃されました。ですので、私たちにとっての初ザトウの知らせは、その常連さんから、おがさわら丸下船後の打ち合せでとなりました。
初確認報告者の名前は、小笠原ホエールウォッチング協会の記録として残ります。今回は自然解説員が代表として登録されましたが、皆さまも来シーズンの初確認者になれる可能性は充分にあります。
10月下旬から11月に来島されるかたは、すでに帰っているかもしれないザトウを探しに、甲板に足を運ばれてはいかがでしょうか。(NAOMI)

★タッキーママ★
12月中旬、滝之浦に好奇心旺盛な親子ザトウがいるという噂が広がりました。どれどれと、遅ればせながら確認に行くと、確かに親子クジラがいます。この時期にしてすでにだいぶ大きくなっている子クジラは、船に気付くと、近付いて来てしまいました。母クジラもそれを諫めるふうでもなく、子クジラに続きます。早生まれの子クジラといい、この船に寄るさまといい、3年前のタッキー親子を思い出します。
もしかして?と、事務所に帰り次第、以前の写真を引っ張り出してみると、果たして!母クジラは同じ尾ビレの模様です!タッキーのママが帰ってきたのです!
3年前のタッキーとママは、まだ海が荒れがちな12月末から1月にかけて穏やかな滝之浦に留まってくれて、ツアーボートにとってはたいへん有り難い存在でした。しかも、タッキーは跳んだり跳ねたり近付いたりと元気いっぱいで、ママも負けずにアクティブな行動を見せてくれました。当時、タッキー親子は大人気となりました。
タッキー自身はとっくに乳離れをして独り立ちしているはずですが、今年もまた、ママが同じように滝之浦に戻ってきてくれたのは嬉しいことです。
それ以後、波がある日でも、穏やかな滝之浦へ行きさえすれば、タッキーママたちに遭えました。タッキーの弟(もしくは妹)も、やはり元気です。尾ビレや胸ビレを振り回して遊んだり、ブリーチを見せたり。
さて、この子クジラはなんという名前にしましょうか。タッキーツー? タの次で、チッキー? それとも、いっそ、ツバサ(タッキー&翼、なんちゃって)? うーん、どれもピンときませんね・・・。あまりにも「タッキー」(滝之浦にいたので)がぴったりしすぎたのでしょう。
そのうちに、滝之浦でダイビングをしていたら海の中でタッキーママたちを見かけた、なんて話が聞こえてきました。そんなラッキーなことがあるのですね。 もしものチャンスを求めて、ダイビングショップは滝之浦のポイントで潜る機会を増やしました。どのポイントも、ダイビングボートで大賑わいです。そこへウォッチングボートも加わりますから、滝之浦は船だらけになりました。タッキーママはそんなヒトの期待や思惑はどこ吹く風、停まっているたくさんの船の間を、ゆうゆうとマイペースで泳いでいます。
もしかしたら、3年後には、また子連れのタッキーママに遭えるのかしら。同じように、タッキーの兄弟と共にアクティブな行動を見せてくれるのかしら。楽しみです。
そのときの子は、さて、いったい何と呼んだらいいかしら? それまでに考えておかなくては。(TOMOKO)

★モッチーニ★
小笠原に戻ってきたのは、タッキーママだけではありません。今年も帰ってきました、モッチーニが!小笠原のザトウクジラのうち、もっとも有名で人気のあるザトウクジラです。
1992年生まれのモッチーニは、今年は女盛りの(?)25才、頼もしい子だくさんの母親でもあります。2000年からコンスタントに出産を重ねていて、今年は9番目の子クジラと一緒でした。
子クジラと一緒でない年は、いつも雄クジラに囲まれているモテモテのモッチーニ。その特徴ある尾ビレを海上に見かけると、ああ、元気でいてくれたと、ほっとします。
今シーズンのモッチーニは、思いのほか早くに姿を見なくなりました。今ごろはアリューシャン列島の海へ着いているのでしょうか。生まれた子クジラも、毎日たくさんのおっぱいを飲んでいるかな。
中には小笠原ではなく沖縄へ行ってしまうザトウもいる昨今、必ず生まれ故郷へ戻ってきてくれるモッチーニです。来年もきっと会えるはず! 皆さんも、モッチーニのことを覚えていてくださいね。(TOMOKO)

★ノアの大接近★
今年のザトウシーズンを彩ったクジラの中には、ノアもいます。
ノアとは、3年前に母島でよく船に近付いてきたクジラのことです。ダイビングショップノアのブログで有名になり、父島でようやくその姿が見られたときは大歓迎されたそうです。
そのノアに、今年は父島沖で何度も会うことができました。子連れなのに、全然神経質ではありません。親子揃って、船に寄ってきます。すぐ後ろまでやって来ると、ぐーーっと頭を突き出してこちらを観察します。そのとき、左下顎にくっきりした白い模様が見えて、あ、ノアだ!とわかります(あまり尾を上げないので、むしろ尾ビレ裏の模様のほうがわかりにくいです)。
出会うたびにウォッチャーを喜ばせてくれるノア親子ですが、もっとも興奮した大接近は、2月下旬でした。
おがさわら丸のお見送りを終えて、そのままスタッフだけで沖へ走りました。いくつかのブローとフルークアップを見たあと、他船が付いているクジラにお邪魔しました。そこにいたのが、ノア親子とエスコートたちの4頭でした。
いつものように近付いてくるノア親子に釣られたのか、エスコートまでが船に大接近してきます。近すぎるクジラたちに、それぞれの船から黄色い悲鳴が上がります。船の真下を通っては、右に出たり左に出たり。クジラに合わせて船上のヒトが走り回ってるさまをはたから見ていると面白いのですが、いざ自分の船にクジラがやってくると、そんなことは言ってられません! 少しでも近くでこの迫力の光景を記憶と記録に残そうと、それぞれがカメラやビデオを持って動き回りました!
ハイライトは、右舷すぐ横でアダルト3頭同時のスパイホップです!! クジラの大きな頭が海面を割ってぬーっと突き出てきたかと思うと、その横にもう1頭の頭が、さらにはもう1頭の頭が出てきました! 3つの黒い頭が海上に並んだあの素晴らしい光景は一生忘れられないでしょう。TOMOKOさんがカメラを持ったまま、ファインダーに入りきらない・・・と嘆いていたことも。
このときのクジラたちは、いったいどれほどの時間、船にまとわりついていたのでしょう。ずいぶん長い間だったように感じます。それでも、やがて、親子とエスコートたちは別れていきました。
私たちはエスコートについて行こうとしましたが、すっかりおとなしくなったクジラたちはもうフルークすら上げません。これでウォッチも終了か、と、ゆっくり港を目指して走り始めたら、その船のすぐ近くにまた子クジラが現れました!
よく見ると、さっきのノア親子がここまで来ていたのでした。速度を落とすと、今度は子クジラがブリーチを始めました! そして、繰り返します!
ちょうど日が傾いて、空が赤く染まってきました。夕日を背景にブリーチを撮ろうとしますが、子クジラは跳びながら船に近付いてきて、なかなか狙った位置に落ち着いてくれません。どアップのブリーチばかりになってしまいます。なんとか回り込もうと、ノアたちから離れるように操船してるのに、子クジラは追いかけてきては、舳先すぐ前で跳びます。まるで船との追いかけっこを楽しんでるみたい。またTOMOKOさんが、近すぎて撮れない・・・と嘆いています。
大接近から連続ブリーチと、ノア親子はたっぷり楽しませてくれました。日が沈んで暗くなりはじめた中を、大々満足での帰港となりました。
ツアーで会えたら忘れられない思い出になること間違いなしのノアには、来シーズンも小笠原でウォッチャーを大いに湧かせて欲しいものです。(NAOMI)

★こんなところにウシバナ?!★
ご存じのように、南島への上陸には2つの方法があります。サメ池から船で上陸する方法と、扇池から泳いで上陸する方法です。
Sea-Tacでは、自然保護の観点から、なるべく泳いでの上陸を心がけています。日陰がなくて強い日射しをじかに浴びてしまう南島では、上陸前後に泳ぐことでクールダウンの効果もあります。扇池のアーチの下では色とりどりのサカナが出迎えて、浜に上がると目の前にサンゴダストの白砂が広がります。気持ち良い、お勧めの上陸方法です。
季節によってアオウミガメやイワシの大群も見られますし、思いがけない出会いもあります。
そう、題名からお察しの通り、ウシバナトビエイです。トビエイは、マダラエイなどとは異なり、中層を泳ぎます。その姿は、まるで海中を飛んでいるかのように優雅です。小笠原を訪れるダイバーにも人気で、シーズンにはウシバナトビエイの群を目的に南島の東にあるポイント「閂ロック」に多くのダイビングボートがやってきます。そんな、普通ならタンクを背負わなければ見られないトビエイが、なんと扇池のアーチにいたのです。
海へエントリーした直後のまさかの出会いでした。せいぜい7~8メートルの浅場に、10尾ほどのウシバナトビエイが泳いでいました。カメラを持っていなかったことが悔やまれました。トビエイたちはスマートな動きで目の前を横切っていきます。その姿に目を奪われていると、岩場スレスレで向きを変えました。先頭の私がそこに留まっているわけにもいかず、先へ進みましたが、うち数尾は扇池の中まで入ってきたようです。
後になって知人のダイバーに聞くと、その日は「閂ロック」にウシバナは皆無だったそうです。ダイビングショップ同士でどこへ行ってしまったのかと言い合ってた日に、その反対側で、スノーケリングでウォッチできた私たちはラッキーでした。
扇池からの泳いで上陸、途中でどんな出会いがあるか、それも楽しみのひとつです。(NAOMI)

★世界遺産センター★
父島の西町に、「小笠原世界遺産センター」が完成しました。世界遺産に関する情報発信や希少種の保護増殖、外来種対策の拠点となる施設で、展示スペースもあります。
個人的に嬉しいのは、動物対処室の開設です。野生動物の保護が第一目的ですが、ペットの適正飼育の推進も含まれています。そうです、ようやく父島に獣医師が常駐してくれるのです。
先日、センターの内覧会が行われました。気になる動物対処室では、ピカピカの医療機器が並んでいて、新任獣医師さんが説明してくれました。予算の関係で、普通の開業医から比べるとごく少ない機器しか揃えられなかったそうですし、最新式というわけにもいかなかったようです。それでも、以前の、そこらにある長机を並べた上で避妊去勢手術をしていた頃を思えば、眩しいほど本物の(?)機器です。実際に可能な処置にも限りがあるようですが、それでも臨床の獣医さんがいてくださるだけでも有り難いです。
我が家の愛犬もそろそろシニアとなるので、とても心強いです。
今、動物対処室では、動物看護師を募集中です。父島で貴重な生物を守る第一線で働いてくださるかた、ペットの治療にも興味のあるかた、ぜひお問い合わせ下さい。(TOMOKO)

★Tomocolumn 35「タイ湾のカツオクジラ」★
鯨類は、生息海域によって異なる採餌方法をとります。例えばアラスカのザトウクジラによるバブルネットフィーディングは有名ですが、タイ湾のカツオクジラもまた、とても特徴ある採餌をしています。
ここでのクジラは、海面に浮上してくると、大きな口をぱっかり開けて、そのまましばらく停まります。クジラの動きに驚いたサカナたちが飛び跳ねて、勢いでその口に入ってしまいます。たくさん入ったところでぱくっと閉めて、ゴクン、と飲み込むわけです。この、口の開けかたや閉めかたはクジラごとに違い、それによって個体を識別することもできます。開けたときには、ピンクの口の中やヒゲ板までもがよく見えます。遠くからでも、青空を背景にして、海に突き出たピンクが目立ち、あ、あそこでフィーディングをしてる、とわかります。クジラの周りでぴんぴん跳ねるサカナを目指してトリも集まってきます。クジラにサカナにトリに、大騒ぎです。ときに、クジラは一頭だけでなく、二頭並んでかぱっと口を開けます。親子の大小の頭が並ぶこともあります。
なんて不思議な光景でしょう。こんな採餌方法を見せるのは、世界でもタイ湾の、それも一部でだけです。豊かな海でカツオクジラがあみだした方法なのでしょうか。
ただ、近年は、ここのカツオクジラの激減が懸念されています。タイ湾で70頭ほどのクジラのIDが確認されているそうですが、昨年だけで少なくとも9頭の死亡がありました。死亡原因は明確ではありません。船と衝突した場合もあるようですし、餌となるサカナの減少も考えられます。最近では、人間の食材としてのサカナの獲れ高も減っていると聞きました。実際、クジラが海面で口を開けても、全くサカナが飛び跳ねてないこともままありました。
タイ湾では大がかりなクジラ調査が行われていなくて、まだ不明の点が多いようです。生態が解明される前にこの特色ある採餌方法が失われてしまう、なんてならないよう、願っています。(TOMOKO)

★おがさわら丸特別便★
昨年就航した新しいおがさわら丸の乗り心地が好評です。もう試されましたか?
船体が大きくなったぶん、揺れも小さくなっていると感じます。
そのおがさわら丸による硫黄3島クルーズと西之島クルーズが今年も催行されます。なかなか行くチャンスがない両島です。どうぞ検討なさってください。
どちらのクルーズも上陸はありません。別途料金が必要です。
(なお、4月21日現在、西之島の再噴火が確認されています。ツアー催行如何について、詳しくは小笠原海運にお問い合わせください)

 硫黄3島クルーズ:2017年9月8日(金)東京発便 父島到着後に出港
 西之島クルーズ:2017年6月2日(金)東京発便 父島到着後の6月4日(日)出港

また、以下の寄港便も予定しています。お住まいによってはこちらの方が便利というかた、お見逃しなく!

寄港便の父島着と東京着は30分遅延となりますので、ご注意ください。

 久里浜寄港:2017年5月8日(月)東京発便
       2017年5月14日(日)東京発便
 館山寄港:2017日9月26日(火)東京発便

★夏のツアー★
おがさわら丸乗船券は、7月分が5月10日(水)9時から、8月分が6月5日(月)9時から、一斉発売です。
今年のゴールデンウイークの乗船券も、等級によっては発売後すぐに売り切れたと聞きます。夏の来島を予定されているかた、くれぐれもお忘れないように。
また、大人気の盆踊り大会は、8月11日(金)~13日(日)、花火大会は12日(土)に決まりました。
Sea-Tacでは、おがさわら丸乗船券と宿の確保後にツアーご予約をお受けします。どうぞお早めの手配をお願いします。
夏の青い海で皆さまとお会いするのを楽しみにしています。

★お知らせについて★
ニューズレターをサイトにアップしたとき、希望されたかたにメールでお知らせしています。
新たにお知らせを希望されるかた、お知らせを停止されたいかたは、下記まで、お名前・アドレスと共にご連絡ください。
宜しくお願いします。
   info@sea-tac.jp

 
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