小笠原の水先案内人

vol.50 2020年10月31日配信

Contents ★乗船前のPCR検査★
     ★イルカたち★
     ★外洋域での出会い★
     ★南島のトリたち★
     ★活発な西之島★
     ★竹芝の変貌★
     ★2021年おがさわら丸スケジュール★
     ★ボートツアーお休みのお知らせ★

たいへんお久しぶりです。TOMOKOです。
思いがけないコロナ禍の中、いかがお過ごしでしょうか。
小笠原では、コロナウイルスの感染を懸念して、4月から6月までは観光客の来島と島民の不要不急の上京を自粛していました。当然ながらツアーも休業となり、すっかりステイホームの日々でした。
7月からは自粛解除となりましたが、ソーシャルディスタンスを守るため、おがさわら丸の乗客定員を半分に制限しています。夏の着発便も中止され、父島3泊便に変更となりました。予定していた観光船の来島も全て中止です。
Sea-Tacのツアーでも、定員を減らし、感染予防対策をとっています。同様の対応を取っているツアーや宿も多いようです。
まだまだ通常通りとはいきませんが、注意深くツアーを催行しています。
Sea-Tacの感染予防対策については、こちらをご覧下さい。

★乗船前のPCR検査★
現在、おがさわら丸のご乗船前にPCR検査を実施しています。
ご予約されたお客様には、小笠原海運から前もって検査キットが送付されます。そのキットに唾液を入れて、乗船日の前日か前々日に竹芝へ提出していただきます。検査の結果、陽性反応が出た場合は、前日夜までに知らせが行きます。
検査費用はソフトバンクが負担してくれているので、お支払いはありません。
前もって竹芝までご足労をかけるのが申し訳ないのですが、コロナウイルスを小笠原に持ち込まないため、また、ご自身の安全のためでもあります。
医療体制がたいへん脆弱な離島ですので、皆さまのご理解ご協力をお願いします。(TOMOKO)

★イルカたち★
3ヵ月の自粛を終え、7月からはようやくツアーを再開できました。
休んでいる間に海は春から夏の様相となり、ザトウシーズンからイルカシーズンへ移っていました。
海に出れば、ミナミハンドウイルカもハシナガイルカも元気な姿を見せてくれます。凪の青く輝く海でのスイムやウォッチの気持ち良さは、例えようもありません。太陽の光を浴びたイルカたちは、ひとしお美しいです。
ハシナガたちは、いつものように群れがまとまって舳先に寄ってきてくれます。ときおり見せる見事なジャンプには、歓声が上がります。
ミナミハンドウは、水中で寄ってくることもあり無視されることもあり、ヒトである私たちはすっかり振り回されてしまいます。イルカ同士で遊んでるようすを見てるだけでも楽しいし、小さなベビーを群れで守ってるさまは応援したくなります。
昔なじみのマダムやジョーも元気でしたし、ライティの娘ラインもずいぶん成長してヒトと遊ぶようになりました。名前の由来の胴のライン模様も薄くなり、見分けにくくなって困ります。
そういえば、今夏もまた、ミナミハンドウによるハシナガベビー誘拐(?)事例がありました。でも、その姿はすぐに見られなくなったので、残念ながらベビーは生き伸びられなかったのでしょう。
ケータでは、他船によって真っ白なミナミハンドウの子が目撃されたようですが、Sea-Tacでは確認できずじまいでした。こちらも、ほんの2~3回の遭遇で終わったようです。
もちろん、イルカのみならず、マンタやアオウミガメにも遭いました。優雅に泳ぐマンタ、愛嬌あるカメ、どちらも魅力的です。
小笠原の海で彼らと遭遇できる喜びを改めて感じさせてもらった夏でした。(TOMOKO)

★外洋域での出会い★
夏季のホエールウォッチング&ドルフィンスイムツアーでは、水深1000mの外洋域まで船を走らせます。お目当てはマッコウクジラですが、この夏、父島列島の西側の海域ではマッコウクジラが留守の時期がありました。一方、外洋性の珍しいイルカ・クジラたちとの思いがけない遭遇もありました。
まずは比較的よく見かけるマダライルカたち。200頭以上の大きな群れでした。近づいてきて船首波に乗ったり船と並走してポーポイジングをしたりと、アクティブな動きを見せてくれます。イルカの姿が遠くなり、さてマッコウのクリック音を捉えようと水中マイクを入れると、まだイルカたちのピーピーという声が賑やかに聞こえていました。
そして、白く尖った口先が特徴的なシワハイルカ。船を見るとすぐに潜ってしまうシャイさが、いかにも野生のイルカらしいです。思えば、沿岸域で出会うミナミハンドウイルカやハシナガイルカたちはきっと、ヒトが近くにいることに長い時間をかけて慣れてきたのでしょう。ヒトを避けてマイペースに海をゆくシワハイルカたちの姿に、改めて、野生動物との関わり方を考えさせられました。
さらには、コビレゴンドウにも出会いました。群れの中には、大きな成熟雄も混じっていました。三角形の背ビレの雌と比べると、体長も胴回りも随分と大きく逞しく、背ビレは太い鎌形です。別種の鯨類かと思ってしまうくらい、雌雄で姿形が異なって見えます。40頭ほどがまとまって悠然と泳いでいく様子には、風格さえ感じられました。
こうしてさまざまな鯨類と出会えた大興奮の夏でしたが、個人的には、いつか小笠原の海でハナゴンドウに出会うのが密かな夢です。まだ飼育個体にしかお目にかかったことがないのですが、丸い大きな頭部や白い傷跡の散った身体がなんともチャーミングに感じられて、すっかりお気に入りの種となりました。
外洋域へ走れるシーズンはそろそろ終わりですけれど、来年にはぜひ皆さまも、小笠原の海の豊かさの真骨頂とも言うべき外洋域での出会いを楽しみにいらしてください。(KOKORO)

★南島のトリたち★
ツアーも催行されず、南島へヒトが上陸することがほとんどなかった4月から6月は、南島を営巣地とする海ドリたちが抱卵を始める時期でもあります。
7月になって久しぶりに南島を訪れると、自然観察路のすぐ脇にオナガミズナギドリの巣穴が増えていたり、サメ池からの上陸地点でカツオドリの営巣・抱卵が確認されたりと、ヒトの利用が減ったぶん、トリたちの暮らしぶりは伸び伸びしていたようです。それだけに、ヒトの訪れによってトリたちに過度なストレスを与えないよう、より注意を払わねばならないと、気持ちを新たにしました。
他方、今年は台風の来襲もなく、海水温の高い状況が続いています。例年なら真夏でもひんやり感じられるキャベツビーチでも、つい最近まで、水着だけで快適に泳げました。スイマーにとってはありがたいのですが、海の生き物たちにとってはそうとも限りません。南島周辺を走っていても、今年はカツオドリのヒナが少なく、成長も遅いと感じます。トリの餌となるムロアジやトビウオなどが減っているそうで、もしかしたらヒナへの給餌にも問題が生じているのかもしれません。
また、小笠原の夏にはスコールがつきものです。ざっと降って、すぐまた晴天に戻る、亜熱帯らしい雨を経験なさったかたも多いでしょう。けれど、今年のスコールは違いました。雨雲が大きく、一度降り始めると数10分から1時間以上も続いたり、断続的にさらに長時間降ったりしました。ここまで降ると、切り立った岩肌に棲むカツオドリのヒナたちは、風雨にさらされ続けてさぞかし大変な思いをしていることでしょう。
それでも、ようやく、白いふわふわの産毛からオトナの羽に生え替わり、羽ばたきの練習をしているヒナも見かけるようになってきました。もうすぐ巣立ちの時期です。好奇心いっぱいの若ドリたちは、きっとまた、船を覗き込んだりドルフィンスイムを観察したりすることでしょう。
逞しく空を飛ぶ彼らと、海上で出会える日を楽しみにしています。(KOKORO)

★活発な西之島★
父島から西へ130kmにある西之島は、1975年からは休止状態でしたが、2013年に再度噴火をして以降、不定期に活発な動きを見せています。2020年6月からは、ひときわ活性化しました。大量の溶岩と火山灰を放出し、一時はその噴煙が高さ8300mにも上がりました。
さすがにこれだけ高くなると、父島からも見ることができました。ウェザーの沖でもくもくと上がる煙に、今まさに起きている西之島の噴火のさまを想像してわくわくしていました。噴煙は、周りの雲とは異なる密度で、かたちが刻々と変わります。ときに、空振(噴火音)が響いてくることもありました。
ツアーに出ていても、ついつい、沖の様子を見てしまいました。動きが派手なときには、お客様とご一緒にしばし眺めました。噴煙を背景にしたマッコウクジラのブローの写真が撮れる日もありました。
たなびく噴煙はどうやら北東に向かっていたようで、八丈島あたりに届いていたと聞きます。のちには、風向きが変わったのか、噴煙の量が増えたのか、父島周りでも空気が霞む日々が続きました。クリアな空が戻ってきたのは、台風ができた頃だったでしょうか。
流れ出る溶岩は西之島を覆い、広がり、すでに2013年の10倍の大きさになってるそうです。営巣していたウミドリたちはどうなったのでしょう。研究者の見解では、溶岩によって高温が持続している島では生命が生き延びる可能性は低いとのことです。
10月現在、噴火そのものはやや落ち着いているようですが、噴火警報は継続しています。
ひとたび生きものがいなくなった(であろう)西之島で、これから新しい生態系がどのように根付いていくのか、その進化のさまが注目されます。この稀少な現象に人為的な悪影響を与えないよう、許可のない上陸は禁止されています。
いつの日か、研究者による調査の報告が待たれるところです。(TOMOKO)

★竹芝の変貌★
おがさわら丸の行き帰りに、竹芝近辺でさかんに工事が行われているさまを眼にされたかたは多いでしょう。
お待たせしました、6月、ついに「ウォーターズ竹芝」がオープンしました。
商業施設、ホテル、劇場、オフィスなどが集まる複合施設で、自然を身近に感じられるのも特徴です。2つに分かれた棟の間には広場とテラスが広がり、川や海を眺めながらゆっくり寛ぐことができます。このオープンに伴い、浅草・お台場・豊洲から竹芝への水上バスも運行されました。
2つの棟のうち、タワー棟にはこだわりのレストランやカフェが多く入っていて、ショップ選びに迷ってしまいそうです。オーガニック系スーパーマーケットもあります。また、シアター棟では、コミュニティラウンジやナイトクラブラウンジなどがあり、複数のエンターテインメント施設を楽しめます。
続いて9月には、竹芝駅から直結する「東京ポートタワー竹芝」も開業となりました。
こちらには、以前敷地内に立っていた都立産業貿易センターの他、レストラン、ショップ、イベントスペース、オフィス、アパートメント、シェアハウスなどが入ります。
このポートタワーを挟んで、竹芝駅から浜松町駅を目指す遊歩道ができています。まだ浜松町駅の一歩手前までですが、高速道路をまたぐ高さからの景色は快適です。こののち完成すれば、JRやモノレールから竹芝まで、ぐんと楽ちんに行けるでしょう。
以前からの「ニューピア竹芝サウスタワー」「ニューピア竹芝ノースタワー」と合わせて、この一画はすっかりお洒落で魅力的なスポットになりました。
ウン十年前の、重いダイビングバッグを浜松町から引きずった、あの歩きにくい道の遠さを思えば、夢のようです。ようやく着いた竹芝の、広場に敷き詰められた砂利のせいでバッグが動かなくなり、どうしてここに砂利を敷くの!と泣いたものです・・・。
まさに隔世の感、竹芝の変貌ぶりには目を見張ります。いかにも居心地良さそうで、おがさわら丸に乗らずとも、ついふらっと立ち寄ってしまいそうです。(TOMOKO)

★2021年おがさわら丸スケジュール★
来年のおがさわら丸運航スケジュールが公表されました。
ゴールデンウイークには着発便と父島1泊便、7月下旬から8月は着発便となります。22年へかけての年末年始便は、着発ではなく、父島3泊便です。
おがさわら丸のドック入りは、これまでの2月から5月へと変更しました。おがさわら丸が来ない間に、さるびあ丸が代船として運航します。また、ドック明けのおがさわら丸も、父島一泊便となります。
この、代船のさるびあ丸も気になりますね。今年就航したばかりの新船です。こちらを狙って上京・帰島する島民が増えそうです。但し、所要時間は27時間となるので、出港入港時刻にご注意下さい。
さあ、どの便に乗りましょうか。どうぞ、早めにご計画下さい。

     2021年 おがさわら丸時刻表

★ボートツアーお休みのお知らせ★
Sea-Tacでは、10月現在、キャプテン急病のため、ボートツアーをお休みさせていただいてます。スノーケリングレッスンツアーのみ、催行しています。
キャプテンは今、内地で検査入院中です。このあと治療方針が決まるでしょう。
スタッフ一同、ボートツアー再開の日を心待ちにしています。そのときには、改めて、ホームページなどでお知らせいたします。
すでにご予約くださっていたかた、ご予約予定でいらしたかたにはたいへんご迷惑をおかけし、申し訳ありません。ツアー中止のご連絡をしたときにはさぞ苦情をいただくことと覚悟していましたが、皆さま、キャプテンの病状を心配する温かい言葉をかけて下さり、本当に有り難く嬉しく感じております。
どうぞ、ご理解の上、しばらくお待ち下さい。また、その間に来島されるかたには、他ツアーにおいても小笠原滞在を存分に楽しんでいただけますように。
折しも、Sea-Tacは11月1日に創立記念日を迎えます。これまで27年間のご愛顧に感謝しつつ、またお会いできる日まで。


*このニューズレターは、不定期にアップしています。
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