BIG ISLANDSとも呼ばれるハワイ島では、西にあるコナからツアーが出ています。
冬から春にかけては、繁殖のために回遊してくるザトウクジラが見られますし、沖に行くとコビレゴンドウやマダライルカに遭うことも多いそうです。また、ハシナガイルカが島の周りに棲息していて、ウォッチツアーやスイムツアーが行われてます。
小笠原では神経質なハシナガイルカですが、ハワイではどういうふうに彼らとスイムしてるのか知りたくて、現地でもっともキャリアが長い、Dolphin Discoveryというツアーに参加してみました。

2010年01月22日

朝7時45分、桟橋に集合です。半日ツアーで、料金はひとりUS$140です。これには、三点セットの器材レンタルも含まれてます。水温は23度と聞いていたので、私たちはウエットスーツ(スプリング)を持っていきました。
小さめのボートに10人の乗客が乗り、キャプテンとガイドが案内してくれます。
乗船後に、器材を合わせ、使い方を簡単にレクチャーします。
8時に出港、30分ほどでハシナガイルカの群を見つけました。岸寄りの浅い海域です。早速、用意をして水中へ。ガイドが先頭を泳いで、イルカのいる方向を知らせてくれます。
ガイドについて行くと、白砂の底が見え、やがてイルカも見えてきました。イルカたちは、数頭づつゆっくり泳いでます。イルカが通り過ぎて見えなくなっても、そのまま水面で浮かんでると、やがて別のイルカや同じイルカがまたやってきます。どうやら、イルカたちはこの入り江を行ったり来たり、ぐるぐる回って休憩してるようです。人が前にいても、方向転換して逃げはしません。さすがに、真正面で待ってるとちょっと避けてやや離れたところを泳いでいきますが、中にはまっすぐ近くまでくるイルカもいます。
皆、水面で浮いたまま水中のイルカをウォッチしていて、潜るヒトや追いかけるヒトがほとんどいません。なので、イルカのほうも安心してるのでしょう。
とは言え、よくよく観察してると、実はイルカの本隊は別にいました。
近い数頭のイルカのずっと向こうに大群がいます。この大群は、ヒトから良く見えるところまでは寄ってきません。群れ全体で子イルカを守ってるようでした。つまり、近くを行ったり来たりしてるイルカたちは、本隊ではない別動隊です。好奇心の強い若者たちなのか、それとも警戒心の強い囮たちなのか。ナットクした私は、それ以上本隊を探すことはせず、近くにいてくれるイルカたちと泳ぎ続けました。
人によって、ボートに戻ってひと休みしてはまた泳ぐことを繰り返していたようですが、私たちは小一時間もイルカたちと泳いでました。
白砂を背景に、透明度の良い海で、太陽も輝いてます。彼らのほうも私たちをじっと見つめて、互いに互いの気持ちを推し量ります。ミナミハンドウのように積極的に遊びはしないけど、青い水の中を泳ぐハシナガたちの姿はとても美しいです。
ボートに全員が戻ると、別のポイントに走り、スノーケリングを楽しみました。浅めの岩場には、たくさんの魚たちが群れてました。
泳いだあとに出してくれたパイナップルやクッキーの美味しかったこと!
帰りがけには、ザトウクジラも見られました。クジラは連続ブリーチを披露してくれて、ボートの近くでフルークを上げて潜っていきました。
12時に桟橋に戻ってきました。ボート上で吹いてみせてくれたホラ貝が実はチップ入れになってたのが、ご愛嬌でした。下船するところにでんと置かれてしまうので、チップを入れないわけにはいきません。ここはアメリカですからね、チップを渡すのは当然ですが、不慣れだから適正な金額に迷うのですよね。
実は、アメリカでは鯨類のいる海に入るのはホエールハラスメントとして禁じられてます。ただ、たまたまイルカがボートに接近してきたとか、泳いでいたらイルカが寄ってきちゃったの、ということで黙認されてるようです。ここではヒトがイルカを追いかけないので、影響が最小限にとどめられているのでしょう。
ハシナガイルカをよく見るポイントはいくつかあるそうですが、今回遭ったのは、偶然、泊まってたホテルのすぐ沖でした。あそこなら、ボートやイルカの動きをホテルから見ていれば、泳いで行けそうでした。
そんな余裕がある贅沢なスイムもいいなぁと、改めて、イルカが身近な環境を羨ましく思ったことでした。