バハマ諸島の沖では、タイセイヨウマダライルカとのドルフィンスイムが行われています。最近はバハマから日帰りのドルフィンツアーもあるようですが、私たちはフロリダからの1週間のクルーズを選びました。
日本からは、アトランタ乗り換えでフロリダのパームビーチに着きます。ホテルに1泊して、翌日の午後、船に乗りこみます。
乗客定員は12人ですが、少人数でのんびり楽しみたかったので、8人でチャーターしました。
4人のスタッフが、操船・食事からスイムのガイドまでしてくれます。

2000年5月20日〜28日

夜に出航して、翌朝、バハマで入管の手続きをとります。
そして、いよいよイルカのポイントへ、と走るまもなく「イルカだ!」。こんな島の近くにもタイセイヨウマダライルカはやって来るのですね。船首波に乗るのを、舳先からウォッチします。すると、群れの中にフレンドリーなイルカがいるとのことです。通常は、ツアーのはじめにスノーケリングチェックをするらしいのですが、その暇もありません。でも全員が小笠原でのドルフィンスイム経験者ですので、スタッフのゴーサインが出ました。張り切って水中に入ると、イルカたちが近寄ってきて、しばらく一緒に遊んでくれました。
これを皮切りに、船は走ってはイルカを見付けて、相手次第でスイムします。リトルバハマバンクの水深は浅く、白い砂にどこまでも真っ青な海です。その中をゆっくり泳いでいるだけで、とても気持ちが良いです。船の上からも水中のイルカがはっきり見えます。
水中に入っても、ふーんと横目で私たちを見てそのまま行っちゃう群もあります。2度3度と入ってみて全然相手にしてくれないときは、あきらめます。ただ、そんなふうに遊ぶ気がないときでも、私たちを避けて進路を大きく変えることはありませんでした。きっとここのイルカたちはすでにヒトに慣れていて、自分たちに危害を加えはしないと認識しているのでしょう。
いっぽう、遊び好きなイルカたちに出会ったときの楽しさは格別です。並んで泳いでくれるイルカもいれば、くるくる回るイルカもいます。
数頭のヒトに馴れたイルカたちには、触ることもできます。スタッフが、このイルカは触ってほしがってるよと言うので、おそるおそる撫でてみると、どうお?という顔でこちらの反応を伺ってます。私たちが代わる代わる触っても平気ですが、とりわけ船長には、イルカの方から近付いていきます。船長がべたべたお腹から背中まで擦ってやると、気持ち良さそうに眼を細めています。やめると、もっと撫でてよ、と手をつついてきて、まるで子犬です。イルカの方でも、あきらかに船長を識別しているように見えました。
夢中になって泳いでいると、時間が過ぎるのもあっという間です。1時間や2時間泳ぎっぱなしのこともありました。船に戻ると、皆、息が上がっています。はぁはぁしながら、面白かったね、なんて話してると、「またイルカが来たよー」とスタッフが大声を上げます。「えー、またー?」なんて言いながら、くたびれてたはずなのにやっぱり三点をつけて用意をしちゃいます。
タイセイヨウマダライルカと遊んでいるときに、すぐ側をハンドウイルカの群が通過することもあります。ハンドウは、小笠原のミナミハンドウより大きいです。泳ぎながら首を傾げて、くるんとした大きな眼でじーっとこちらを見ています。近付いても嫌がりませんが、マダラほど遊んではくれませんでした。
次々とイルカの群れに会うこともあれば、午前中いっぱい遭えないこともありました。遭えないときは、キャビンでお喋りしたりデッキで寝ころんだり、それぞれでくつろいでいます。スイムの合間には、スクーバダイビングやスノーケリングも楽しみます。
シュガーレックというダイビングポイントでは、沈船の回りにたくさんのサカナがいて、大きなアカウミガメも回ってきました。リーフのダイビングも、日本でも見るサカナたちがちょっと外人顔(?)で、面白かったです。ダイビングのCカードを持っていない人は体験ダイビングをしましたし、水中スクーターを楽しんだ人もいます。
クルーズの途中で、トローリングもしました。魚がかかると、交代でリールを巻きます。1mのホワイトツナを2本釣り上げました。釣果はスタッフがお刺身にしてくれて、皆で舌鼓を打ちました。
美味しい夕食のあとで、グラス片手にスタッフとお喋りするのも楽しいひとときです。イルカやクジラの話をしていると、きりがありません。英語を片言しか話せないぶん、身振り手振りも雄弁です。英語が堪能な人の助けも借りながら、互いに知りたいことがたくさんあって、会話が弾みます。
そんなときに気が付くと、夜の海にイルカが来ていることもありました。暗がりの中で、夜光虫をきらめかせながら、イルカが行ったり来たりしていました。
丸5日間をイルカ三昧で過ごして、6日目の夜に船はフロリダに戻りはじめました。7日目の朝、パームビーチで入国管理官が乗船してきて、入管の手続きを済ませます。
そして港に戻って、下船。スタッフと名残を惜しみ、イルカたちや美しい海にも後ろ髪を引かれつつ、楽しく愉快な7日間のクルーズが終わりました。