西オーストラリアのフリーマントルは、パースの南西20キロにある港町です。9月から11月にかけて、沖合を通過するザトウクジラのウォッチングツアーがあります。
私たちは、2002年11月、パースを基点に近隣のあちこちへイルカやクジラを見に行ったとき、フリーマントルからのツアーにも2回乗船しました。

2002年11月10日

日曜日の11時、クジラを見ようと張り切ってやってきたら、まだフリーマントルの街は閑散としています。インフォメーションセンターも12時からとのことで、開いていません。仕方なく、歩き回ってツアーボートの出る場所やチケット売り場を確認し、レストランを探して昼食を済ませました。
あらためて桟橋に向かうと、すでに観光客が何人も待っていました。チケットを買って(AU$25)、Eagle Expressという船に乗ります。
13時15分出港。船はカタマランタイプで2階建てキャビンがあり、大きいです。いつもはロットネスト島へ人や荷物を運んでいるらしく、ザトウシーズンだけ、通常の運航の合間にウォッチングツアーを催行しているようです。広いキャビンは空いていて、座り心地の良い椅子でのんびり寛げます。
けれど、水路から海に出ると、海況は荒れていて、揺れるし、はたきます。35分走ったところで、船はスピードを落としました。乗客は皆、デッキに出ます。強い風が猛烈に冷たいです。停まった船はいっそう揺れるので、手すりにしがみつきます。揺れの中で、何度も水しぶきをかぶってしまいました。そうしながら周りを見回しますが、クジラは見られません。
デッキにはスタッフも出ていますが、もっぱら乗客とのお喋りを楽しんでいて、真剣にクジラを探してるようには見えません。上の操縦席にいるキャプテンはクジラを探しているようですが、やはり見付けられません。
結局、しばらくはそうしていたあと、14時30分、あきらめて船を戻しました。
15時帰港。ちょっとハードなツアーでした。クジラを見られなかったので、次回は半額になるチケットを受け取りました。

11月13日

水曜日は、店も早くから開いていて、9時30分から街をぶらつきました。昼食のあと、桟橋へ向かいます。今日は、Oceanic Cruiseという船に乗ることにします(AU$25)。桟橋は先の船と同じところです。カタマランタイプで、通常はロットネスト島の往復をしてるのも同じです。大きさもキャビンも似ていますが、乗り込むと、テレビでクジラのビデオを流していました。
海況は、先日よりは良いようです。Eagle Expressと相前後して13時15分に出港、同じ海域を目指します。
40分くらい走ってから、前部のデッキを開放しました。早速外に出ると、この日はほどなく3頭のクジラを発見しました。うち2頭がアクティブで、テールスラップ・ペダンクルスラップを繰り返しています。船はあまり速度を落とさず、そのままクジラに近付いていきました。あらあらあらと思う間に、30mまで寄ってしまいます。クジラは、尻尾を振り回しながらどんどん泳いでいます。船もまた、それを追ってずんずん走り続けます。クジラが逃げるから船が追うのか、船が追うからクジラが逃げるのか。もう1隻のEagle Expressも、こちらの船と並んで走っています。こちらの船のほうがクジラにより近くて、お客さんは大喜びしています。私も近くで見られるのは嬉しいけれど、ここのウォッチングルールはどうなってるのだろうとも思っちゃいました。
このアクティブなクジラたちを見続けて、14時30分、船はUターンしました。15時10分、帰港。2時間のツアーでこれだけクジラを見られたらラッキーでしょう。
というわけで、貨客船としての通常の運航もあるからか、どちらのツアーも、クジラに会えようが会えまいが現場で30分過ごしたら帰港というタイムスケジュールが決まっているようでした。
どんなクジラを見られるかは、いつでもどこでも運次第だけど、観光のついでに気軽にウォッチングするには良さそうです。
パースから出ているウォッチングツアーもありますが、いったんフリーマントルまで来て、やはり同じ海域へ行くことになります。

フリーマントルは小さな街で、シーフードレストランが軒を並べ、マーケットや倉庫でのショッピングも楽しめます。パースから電車で20分くらいなので、ちょっと足を伸ばしてぶらつくのにお薦めです。