カリフォルニアのモントレーという小さな街は、日本からも行きやすい、でも日本ではあまり知られていない、ホエールウォッチングポイントです。
ずっと以前、メキシコからの帰りに寄る予定で楽しみにしていたのですが、エアートラブルが続いて行けませんでした。
それから十年以上たって、念願だったモントレーをようやく訪れることができました。
サンフランシスコからレンタカーで2時間半くらいです。海外での運転が苦手な私たちは、小さな飛行機で行きました。

2011年05月

朝、こぢんまりした街を歩いてワーフへ行くと、アシカの声が賑やかです。
岸壁にも、停泊中の船のデッキにも、港内のブイにも、アシカがいます。
よく見ると、アザラシやラッコもあちこちにいます。それだけサカナやプランクトンも豊富なのでしょう。
いかにもカリフォルニアらしいそのワーフから、数隻のホエールウォッチングボートが出ています。どれも100人以上乗れる大きなボートで、3時間ほどのツアーです。
いざボートに乗って、港の外へ出ると、たいていすぐに現れるのが、ハナゴンドウでした。十数頭が広がって、波乗りをしています。
オトナのハナゴンドウには多くの傷があり、体表が白っぽくなっています。子どもにぴったり寄り添って泳いでるハナゴンドウもいました。波の上に丸い頭を突き出して、こちらを見てるゴンドウもいれば、ジャンプするゴンドウもいました。
小笠原ではとても珍しいハナゴンドウなのだけど、なぁんだ、モントレーにはこんなにたくさんいるのですね。
次によく遭ったのが、ザトウクジラです。ザトウは、どこでも人気者です。ブロー・フルークアップにメリハリがあり、スラップやブリーチという派手さもあります。カリフォルニアの海でも、日差しを浴びる黒いザトウクジラは、やっぱり美しい。そして、観光客のあげる歓声がいちばん大きくなるのも、ザトウでした。私たちにとってお馴染みのザトウだけど、ここでも遭えるのは嬉しいことでした。
水面を素早く横切っていくイルカは、さて、何イルカなのかわかりにくいです。あまりにも早すぎるのですもの、眼が追いつきません。
船に近付いてきたとき、ようやく、鎌形の背ビレと白黒の体側を見分けました。カマイルカです。いったんわかってみると、なるほど、いかにも「カマ」らしい、鋭い背ビレです。小笠原では見られないので、遭えたのが嬉しいイルカです。
セミイルカにも遭いましたが、カマイルカよりもっとシャイなのでしょうか、なかなか近付いてくれません。スタッフが教えてくれて、ようやく種が判明しました。全然カメラにおさめることもできませんでしたので、次の機会にはもっとゆっくり観察したいなぁ。
この時期には珍しい、シロナガスクジラにも遭いました。お客さんはもちろんですが、むしろ、スタッフの方がこの思いがけない遭遇に大喜びしてました。
2頭のシロナガスクジラは、高く上がるブローを繰り返してから、すーっと潜っていきました。ザトウクジラとは異なり、なめらかな動きにシャープな姿です。フルークを上げないぶん深く潜ってないようで、じきにまた浮上してきます。海面に現れる前に、海中に白っぽいからだが動いてるのがわかります。近くで見ると、さすがに大きい!!
こんなふうに次から次へとクジラやイルカをウォッチしていると、時間がたつのはあっという間です。
船は、港に戻ります。そんな船を、たくさんの海ドリが空から追いかけてきます。
ウォッチングボートに長玉レンズのカメラを何台も抱えてる人たちが大勢乗り込んでたのは、実はクジラウォッチャーではなくて、バーダーたちだったのです。彼らは、しきりに真上を飛んでるトリたちを撮影してました。
残念ながら、ツアー中にクジラやイルカにまったく会えないときもありました。会えないと、下船後にチケットを受け取ります。次回は無料で乗船できるチケットです 。次はいつ来られるかわからないわ、と言ったら、期限なしで、人が入れ替わっても構わないからお友達にあげて、と言われました。
同じ時期には、シャチやコククジラも見られてるようでした。

半日のツアーでいろいろな種類のクジライル2カに会える可能性のある、魅力的な海です。
バスで行ける近さのカーメルという街も、人気が高いお洒落なところです。また、モントレー半島の「17マイルドライブ」という道は、景色が美しく、途中で動物ウォッチができることでも有名です。
歩きやすいし、シーフードも美味しいし、見応えのある水族館もあるし。ぜひ気軽に再訪したい街です。