南の風が吹き、春らしい陽気の小笠原です。

出港して、最初のガイダンスをしかけたところでイルカ情報が入りました。
ドルフィンスイムの注意点だけをご説明し、湾口へ向かいました。
ミナミハンドウイルカ2頭の背ビレを確認しましたが、岩場で波乗りをしています。
泳ぐ準備をし、危険な岩場から出てくるのを待っている間に、イルカたちを見失ってしまいました。
波に乗りながら勢いよく泳ぎ去ってしまったのでしょうか。

イルカも探し続けたいところですが、海況が悪くならないうちにと南島へ走ります。
扇池は波があるものの、タイミングを計れば泳げそうです。
ご希望された方のみ上陸し、陽があたる美しい南島をご堪能いただきました。

船に残られた皆さまは、その間ザトウウォッチをしてらした模様です。
親子がそれぞれペックスラップやテールスラップを披露していたようです。

南島上陸組をピックアップし、ジョンビーチジニービーチを眺めます。
北上する途中には、海面にアオウミガメがいました。
1頭が1頭の上に乗り、その横にもう1頭います。
小笠原ではそろそろウミガメたちの交尾シーズンが始まります。

ウェザー下にブローを見つけて次の浮上を待っていたら、突然、舳先に出てきました!
と思ったら、今度は右舷すぐ下にシルエットが見え、そのまま上がってきて、ブローです。
この近さに、黄色い歓声が上がります。
船を見に来たらしいこのザトウたちは、それで納得したのか、そのまま離れていきました。

今のザトウの様子をみていると、左舷側に親子とエスコートの3頭が現れました。
子クジラが頻繁に浮上してきて、母クジラもそれに合わせます。
エスコートはその横で尾を上げて潜っていきます。
母クジラは胸ビレの上側も真っ白で、水面下でもよくわかります。

北で、別のザトウがアクティブになりました。
2頭のザトウクジラのうち1頭がテールスラップを繰り返していました。
振り上げるたびに、尾の裏の模様がくっきりと見えます。
それに対して、もう1頭はおとなしく、潜るときでも尾も上げません。
このスラップは、隣にいるクジラへのアッピールかと思われますが、オスへの威嚇行動なのか、それともメスへの求愛なのか、わかりません。
どちらにせよ、アッピールした結果が気になります。

お昼とスノーケリングは、キャベツビーチで取りました。
天気が良く、水中も明るいです。
船の下には、今日もたくさんのサカナが集まっていました。

午後は、湾内にハシナガがいるとの情報がありました。
けれど、私たちが着いた頃には、他船が見失ってしまったようです。
朝のミナミハンドウと同様、波乗りを楽しみながら、沖へ移動していったのでしょうか。

小港沖で、ブローを見つけました。
水中マイクを入れると、ソングが響いてきます。
さっきのブローをしたクジラが歌っているのでしょうか。
次に浮上したと思ったら、あれ、2頭います。
となると、これは別のクジラ?
今の時期は高密度でザトウクジラがいるために、どのブローが誰? さっきまでのクジラはどれ? と、迷ってしまいます。
この2頭は、浅根の近くで追いかけっこをしているようでした。

その沖で、今度はしぶきが上がりました。
テールスラップをしているクジラに近付くと、親子でした。
近付くとやめてしまったので、もうお終いかと油断していたら、いきなり母クジラのブリーチです。
宙に浮かぶ巨体と海に落ちたあとの大きな水しぶきが、大迫力です。
その後も、私たちの油断を見すましたように散発的に跳んでいました。
いつ跳ぶかの予想がつかず、ドキドキ緊張しっぱなしです。

ブリーチのあとはペックスラップをしたり、子クジラがテールスラップをしたり、サービス精神旺盛な親子でした。
湾口まで来ると、のんびりモードになりました。
それでも、子クジラが船の近くにやってきて私たちを楽しませてくれます。

この親子をたっぷりウォッチして、船は帰港しました。
今日はイルカとはタイミングが合いませんでしたけど、クジラは盛りだくさんでした。
多すぎて、どのクジラを追っていたのかわからなくなる、そんな楽しくも困ってしまうウォッチ日和が続いています。(NAOMI)