クリスタルリバーへは、フロリダのオーランドから車で北へ2時間ほどです。温暖な気候で、リタイアした人たちの冬の避寒地になっているようです。
クリスタルリバーでは、あちこちに温泉が湧き出ています。夏は沿岸海域にいるマナティたちが、冬になると、暖かさを求めて川を上ってきます。

1999年1月18日〜24日

ここでは、数軒のダイビングショップが、半日マナティスイムツアーをやってます。ボートだけをレンタルすることもできるようですが、水中のマナティを見付けるのは素人にはちょっと難しいかもしれませんので、ガイドのいるツアーに参加した方が良さそうです。
水温は低いですけど、ツアーでは、ウエットスーツや三点セットも貸し出してくれます。
マナティスイムでは潜る必要はありません。水面に浮いているマナティに近付くので、スノーケリングが苦手な方でも問題ないでしょう。淡水の川ですから、波もありませんし、水もしょっぱくありません。
私の参加したツアーでは、潜ってマナティを追いかけることのないよう、ウエイトは貸してくれませんでした。あくまで、人が寄っても嫌がらないマナティとだけ接触し、泳いでいるマナティや採餌中のマナティには近付きませんでした。
マナティを見つけると、まずボート上から様子を見、次にガイドがそっと水に入ります。そして、そのマナティが嫌がってないとわかると、ようやくゴーサインがでます。マナティがヒトを避けてるようだとそのままガイドが戻ってきて、また別のマナティを探します。なかなか適当なマナティが見付からなくても、時間をかけて探していました。お客の方も、せかすこともなく、ボート側のそんな方針に納得しているようです。いずれにせよ、私が参加した二日間のツアーとも、結果的にはとてもフレンドリーなマナティたちとの楽しいひとときを存分に楽しめました。
水面で見るマナティは、さすがに大きいです。その丸々とした胴体の太いことといったら!
水底で動かないでじっとしているマナティは、大きな岩と見間違えます。その巨体が、砂煙を巻き上げながら、ばふばふと海底の海草を食べすすむさまは、なかなか凄まじいものでした。
中でもおっとりした性格のマナティは、人に囲まれても平気です。触ってもちっとも嫌がりません。それどころか皮膚を掻いてやると大喜びで、ここも掻いて、ここも、ここもと、ぐるぐる体をよじらせては掻いて欲しいところを手に押しつけてきます。
あまりにフレンドリーすぎて、のしかかるばかりに近付いて来るマナティもいます。写真を撮りたくても、近すぎてピントが合いません。しまいには、片手でマナティの体を押しやって距離をつくっては、急いでシャッターを押していました。
子マナティはおおむね好奇心が強く、人間に興味津々です。ある1頭は、さんざん掻いてやったあとで船に戻ろうとすると、まだ足りないのか、後ろから付いてきてしまいました。私がボートの梯子につかまると、並んで頭を出して船上の人間たちを見上げます。そのあと、ボートの下に潜り込んで、アンカーロープに噛みついたり、船底に頭をぶつけたり、ひとりで大騒ぎしています。おかげで、ボートを動かしたくてもしばらくは動かせませんでした。
ハンドウイルカの群れにも会いましたが、こちらとはスイムはできません。透明度は悪いので、水中に入ったところで、動きの早いイルカに追いつけるとは思えませんでした。ボート自体も、ほとんどアイドリング状態で動いているので、イルカより遅いです。
川のあちこちをマナティのサンクチュアリとして囲い、立入禁止になっています。サンクチュアリに入ろうとしているマナティにも近付きません。カヤックを漕ぎながらボートの様子を監視しているレンジャーもいました。彼らといい、ツアーショップのガイドといい、貴重なマナティの冬の生息域を守ろうとしている姿勢が好もしかったです。

互いにスキンシップを満喫するマナティスイムは、ドルフィンスイムとはまた全然異なったかたちながら、とても楽しいものでした。