小笠原の水先案内人

vol.35 2013年11月19日配信

Contents  ★マッコウクジラ★     
     ★イルカたち★
     ★イルカの継子★
     ★逞しい若ドリ★
     ★南島の利用制限★
     ★年末年始便★
     ★春の着発便★
     ★Tomocolumn 27「21年目へ」★
     ★配信停止のご連絡★
 
こんにちは、TOMOKOです。
夏が過ぎたと思ったら、今年の秋は足早なんてものではなく、ほんとうにさっと行ってしまいました。9月から10月にかけて台風が5つも来襲、おがさわら丸のスケジュールが三便続けて変更しました。こんなことは20年で初めてです。
とは言え、小笠原は暴風圏に入らずにすみ、大きな被害がなくてほっとしました。内地や大島での洪水や台風による被害には驚かされました。皆さまに影響はなかったでしょうか。
そして、すでに冬の風が吹き始めてる父島です。
 
★マッコウクジラ★
マッコウベストシーズンのはずの秋ですが、今年はなかなか外洋域に走れる穏やかな海況にはなりませんでした。
それでも、9月上旬には、マッコウツアーを数回催行できました。
水中にマイクを入れるまでもなく、クジラのブローを見つけることもしばしば。マッコウは、筋肉質な胴を水面に浮かせて、何度も何度も呼吸を繰り返します。オトナがフルークを上げて高く潜ったあとに、コドモだけが残ってせわしなく動き回ってます。
あっちにもこっちにもブローがいっぺんに見えるときもあれば、好奇心の強いマッコウが停まってる船に近付いてくるときもありました。船上から、その大きな体を間近に見られました。
マッコウチャンスが少なかった今シーズンですが、クジラたちが外洋にいるのは変わりません。また来年の遭遇を楽しみにしましょう。
ただ、今年多かった「ダイオウイカに会えますか?」というご質問には、イエスと答えられないのがツライところですけど。
 
★イルカたち★
今年は水温が上がるのが遅かった印象があります。でも、そのおかげで台風が発達しないし、サンゴの白化は起きないし、イイ点もありました。
夏のイルカとの出逢いは、いつも通りでした。とりわけ、ハシナガベビーの元気なことといったら!
ミナミハンドウイルカのベビーももちろん可愛いのですけど、ハシナガの、ちっこいクセに生意気に母さんといっしょにジャンプするさまには、さすがハシナガ!双葉より芳し!と拍手しちゃいます。
いっぽう、ミナミハンドウイルカは個体識別しやすいので、日を追ってその行動が変わっていくのがわかるのも楽しみです。
メッカと呼んでる片眼のイルカ、以前は見えない左側へヒトが近付くのを嫌いました。だから、左眼が見えないことに気付くのに時間がかかったほどです。
ところが、最近のメッカは、ヒトが右へ来ようが左へ回ろうが、全くへっちゃら。まるでどちらの目も見えてるかのように、よくヒトと遊んでくれます。こんな好奇心が強い性格だからこそ、何かの事故で目を失ったのでしょうか。
海でメッカを見つけると、また遊んでくれるかも!とわくわくしてしまう、最近の私たちです。
 
★イルカの継子★
某日、湾口でミナミハンドウイルカの群に出会いました。海に入ると、十数頭が浅い岩場をゆっくり泳いでるのがよく見えます。
でも、そのまま岩場を抜けてくるかと思いきや、Uターンしてしまいます。反対側へ回り込んで待ってても、また引き返してしまいます。
あれ?とよく見ると、群の向こうに小さな赤ちゃんの姿が見えました。なるほど、だから、群全体が神経質なのですね。
母さんイルカにぴったりくっついて泳いでる赤ちゃんイルカ、とっても小さいです。あれほど小さいのは、生まれたばかりだからかしら。
間に他のイルカたちが入っては邪魔するから、赤ちゃんの姿がはっきりとは見えないけど、とにかく小さいのはわかりました。
お客様には赤ちゃんに近付かないようにとご案内しつつ、囮役で近付いてくるオトナのイルカと泳いでました。
あとになって、実は、そのときの赤ちゃんがミナミハンドウではなくハシナガだったと聞いて、驚きました。
この群を撮ったダイバーが、やはりそのときは気付かなかったのだけど、あとから写真を拡大したらハシナガだったというのです。
道理で、極端に小さかったはず!
それにしても、ミナミハンドウがどうしてハシナガの子を連れていたのでしょう? たまたま近くにいたときミナミハンドウについて行っちゃったのでしょうか。それとも、迷子になったハシナガの子をミナミハンドウが保護した? 授乳はできないはずですよね? 果たして、無事に成長するのでしょうか? 疑問だらけです。
残念ながら、その後、この赤ちゃんは確認されていません。
いったいこの子に何が起きたのでしょうか。こんな例は他にもあるのでしょうか。疑問は残ったままです。
 
★逞しい若ドリ★
続けて来襲した台風は、ようやくオトナと同じ羽に生え替わったばかりのカツオドリたちにとってもさぞ厳しい試練だったことでしょう。
がっちりした巣があるわけでなし、穴の中に隠れこむわけでなし、あの南島の険しい岩壁にしがみついて強風をやり過ごしてるかと思うと、果たして何羽が生き延びるかとハラハラさせられました。
台風が通り過ぎてようやく数日ぶりにツアーに出られた日、南島あたりを走ってると、あらあら、いつものように若ドリが船を目指して飛んで来るではありませんか。きみたち、無事だったのね!
久しぶりの船が珍しいのか、真上にホバリングしては首を伸ばしてこちらを観察してます。
一羽、二羽、と数えていたら、まぁ、どんどん増えてきて、十羽どころか、二十羽近くにもなって、団体でボートウォッチしてます。
たまたま私たちがイルカを見つけて海に入ると、そのさまも珍しいらしく、今度は泳ぐ人の真上に付いていきます。
いつもと全く変わらないその姿に、こちらも安心するやら、頼もしいやら。
こんなに逞しいなら、これからの南への長旅も乗り越えてくれることでしょう。元気に旅立ってね。
 
★南島の利用制限★
11月5日から2月2日まで、植生回復のため、南島の自然観察路の利用は禁止されてます(但し、年末年始を除きます)。サメ池からの上陸はできません。でも、扇池からの上陸はできます。
Sea-Tacのツアーでは、海況さえ問題なければ、泳いで上陸し、砂浜をご案内します。ヒロベソカタマイマイの半化石を見ていただき、陰陽池まで歩きます。陰陽池では、渡り鳥も多く見られます。
ほとんどの船が上陸しないこの時期は、人影もほとんどありません。鳥の声を聞きながら歩くのは、とても気持ち良いです。
むしろ、今が南島の狙い目といえるかもしれませんね。
 
★年末年始便★
11月8日に、年末年始便の乗船券が一斉に販売されました。今年も大勢の人が海運の窓口に並んだことでしょう。父島の営業所でも、全く電話が通じない状態でした。
そして、Sea-Tacのツアーご予約も受け付け開始です。この時期は、ザトウクジラウォッチ&ドルフィンツアーを催行します。すでに、日によっては、満席となっています。
今年は観光船の来島がないので、街中は例年より空いてるかもしれませんね。父島では、例年同様、「カウントダウンイベント」と「日本一早い海開き」が行われます。
来島を計画されてるかた、手配はどうぞお早めに。
 
★春の着発便★
おがさわら丸は、3月5日東京発便から31日東京着便まで、父島着発となります。11時30分に父島に到着して、14時に出港です。今年の3月と同様、東京に2泊することもありますので、小笠原往復の日程が6日間か、7日間になります。
また、おがさわら丸以外にも、にっぽん丸とぱしふぃっくびぃなすも来島予定です。ぱしふぃっくびいなすは神戸からの予定ですので、関西のかたに便利でしょう。
おがさわら丸チケットは2ヵ月前から販売されます。と同時に、Sea-Tacのツアー受付も始まります。
まだ先のことではありますが、ザトウウォッチのベストシーズンです。ぜひ、ザトウに逢いにいらして下さいね。
 
★Tomocolumn 27「21年目へ」★
11月1日はSea-Tacの創立記念日でした。開業してから丸20年が過ぎ、21年目に入りました。
小笠原の父島で、大好きなクジラやイルカを皆さまにご案内したくてツアーを始めてから、あっという間の20年でした。でも、その月日の中で、いろいろな出会いがありました。
当時の小笠原では予想してなかったほど多くの種のクジライルカにも遭いました。思いがけない出会いのたびに、どれほど驚かせ、喜ばせてもらったことでしょう。クジラもイルカも、会えば会うほど、私たちを魅了してくれます。
これまで、大勢のお客様にツアーに参加していただきました。お客様の喜びの声が、私たちにとって何よりの励みとなりました。
繰り返し来島されて、今ではすっかりお友達付き合いとなってるかたもいらっしゃいます。Sea-Tacのツアーで知り合って結婚されたカップルもいれば、生まれたお子様を連れて来島されるかたも。
皆さまの人生の一部に、いつまでも小笠原への思い出が残っていると嬉しいのですが。そして、クジライルカたちへの愛情も。
Sea-Tacは、これからも皆さまに小笠原のクジライルカの魅力を伝えていきます。30年目を目指して(?)、どうぞよろしくお願いいたします。
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