Contents ★お帰り、タッキーママ★
★ザトウのソング★
★コブハクジラ★
★若ドリたちは好奇心旺盛★
★クリスマスイルミネーション★
★おがさわら丸スケジュール★
★羅臼シャチウォッチングツアーのご案内★
★Tomocolumn 41「クジラへのアプローチ」★
★夏期アルバイト募集★
★お知らせ★
こんにちは、TOMOKOです。
2019年の秋は、小笠原も数回にわたる台風の試練を受けました。海は荒れがちで、シルバーウイークも含めてツアー欠航の日もありました。おがさわら丸の運航にも影響が及び、スケジュール変更を余儀なくされた観光客や島民が大勢でした。父島も母島も台風襲来で被害を受けましたけど、人的被害がなかったのはせめてもでした。
年が改まった今、小笠原も暖冬でしょうか、例年より気温水温が高めです。
11月に今シーズン初確認となったザトウクジラは、12月中はあまり増えず、このままでは年末年始のウォッチが厳しいかと懸念されていました。でも、まるでおがさわら丸のスケジュールを知っていたかのように、年末便入港と共にザトウクジラをよく見かけるようになりました。
さて、今年はどんな出会いが待っているのでしょうか。
★お帰り、タッキーママ★
何と、あのタッキーママが帰ってきました!
2014年のシーズンに子クジラと共に滝之浦に留まってくれた親子のザトウ、荒れた年末年始のあいだ、ザトウの少ない時期にもかかわらず、穏やかな入江でのウォッチングができて、どれほど助かったことでしょう。しかも、親子揃って船を嫌がらず、むしろ好奇心を示して近付いてきたりアクティブな行動を見せたり。誰とはなしに、その子クジラを「タッキー」と呼ぶようになりました。
そして、2017年のシーズンにも、同じようにタッキーママが子連れで滝之浦に現れたのでした。タッキー同様、その子クジラも伸び伸びしていました。尾ビレや胸ビレを振り回したり思い切りのよいブリーチをしたりで、ウォッチャーを喜ばせてくれたものです。
次に会えるのはまた3年後かしらと楽しみにしていたところ、果たして!タッキーママが(知る限りでは)3番目の子クジラと滝之浦に帰ってきたのです!
噂を聞きつけて、私たちもタッキーママを目当てに滝之浦へ行ってみました。波のない浅瀬で、親子はのんびりしていました。子クジラはひんぱんに浮上してきて、右へ左へと泳いでは潜っていきます。やはりこの子クジラも船を警戒しません。子クジラをウォッチしていると、タッキーママが大きなブロー音と共にゆっくり浮上して来ます。兄島を背景に、日射しを浴びたブローが白く輝きます。呼吸を繰り返してから、タッキーママはおもむろに尾を上げて潜っていき、子クジラもママを追って海面から消えました。
また元気な親子に遭えて嬉しいです。タッキーママは、滝之浦がよほどお気に入りなのですね。彼女にとって、何よりの子育ての場所なのでしょう。
ちょうど今はおがさわら丸ドック中で、観光客も少なく、ツアーボートもほとんど出ていません。タッキーママは、これまでになく、静かにのんびりと子育てに集中できそうです。きっと、子クジラも、何者にも脅かされず、毎日たっぷりママに甘えていることでしょう。
いつまでいてくれるかわかりませんが、再会できただけでも嬉しいです。この子クジラも、どうか元気に育ってくれますように。(TOMOKO)
★ザトウのソング★
ザトウクジラの鳴音は、低い音から高い音まで様々な音の組み合わさった旋律が歌のように繰り返されることから、ソングと呼ばれています。わたしはこのソングを聴くのが大好きです。初めて聴いたときには、月並みな表現ですが「魂が震える」というのはこういうことか、とさえ思いました。
歌っているのは、オトナのオスのクジラです。異性にアピールするための歌という説もありましたが、歌っているクジラにメスが寄ってきた目撃事例がなく、現在では他のオスに対して縄張りを主張するための歌だという説が有力です。
年明けのツアーで、オトナのクジラが1頭でいるのを見つけたので、船を停めて水中にマイクを入れてみました。すると、スピーカーから、あの不思議な声が流れ出てきました。聴き入っていると、どうやら2頭シンガーがいるようです。少し声が遠く、さっき見つけたクジラではないかもしれませんが、それでも数㎞圏内にはいるはずです。
2頭の歌声は絡み合うように続きます。ソングは数百㎞離れたところにまで届くと言われています。この見渡す限り広大な海も、クジラたちにとっては、意思疎通をしたりお互いの気配を感じたりできるくらい狭いのかもしれません。
ソングと波音との間に、ピーピーという鳴き声らしきものも混ざりました。姿は見えませんが、ひょっとすると近くをイルカたちが通っていったのでしょうか。
この豊かな海は、今日もたくさんの生き物たちをその懐に抱いています。姿を見に、声を聴きに、気配を感じに、同じ海で泳ぎに、ぜひ皆さま、今年も小笠原に遊びにいらしてください。(KOKORO)
★コブハクジラ★
昨秋は台風の来襲が多かったとはいえ、その合間に外洋域に走れる日もありました。
冬から春に会うザトウクジラは、グレーの海での派手な行動がドラマチックですが、夏から秋のマッコウクジラは、ブルーの海でブローを繰り返してからの高いフルークアップが実にカッコイイです。
そして、外洋域で会う可能性があるのはマッコウだけではありません。10月某日には珍しいコブハクジラに遭遇しました。
マッコウではない背ビレを見つけたとたんに潜ってしまったそのさまに、たぶんアカボウクジラでしょうとご案内しました。でも、次に浮上した姿に近付いたら、おっと、違いました、アカボウではありません、コブハクジラでした。
コブハクジラは体長5mほどの中型鯨類で、灰黒色の胴には丸い傷跡がたくさんついています。下あごが長く口角が上がっていて、笑ってるようです。成熟オスの歯は大きく露出してるのでこの名がついてますが、なかなかその口元を海面に出してくれません。
このときは10数頭の群れで、親子が多くいました。若いクジラは、灰色がかった、傷もない滑らかな体表です。コブハクジラたちは浅い潜水をしてはまた海面に現れて、しばらくその姿を近くで観察させてくれました。
こういう珍しい鯨類に遭った日は、おおむねマッコウクジラにも会えます。そういう潮回りなのでしょうか。この日も、コブハと別れてじきにマッコウを見つけられました。午前中には沿岸域でハシナガイルカとミナミハンドウイルカにも会えていましたので、一日で4鯨種に会ったことになります。
私たちにとっても久しぶりのコブハクジラとの出会いでした。もっとしじゅう会いたいものですから、外洋域ではもっと眼をこらして海面を捜すことにしましょう。(TOMOKO)
★若ドリたちは好奇心旺盛★
春から秋にかけての小笠原では、カツオドリの姿をよく見かけます。カツオドリは、冬の間は南半球のニューギニアなどの地域で暮らしていますが、春になると繁殖のために小笠原にやってきます。夏に生まれた白くふわふわのヒナたちは、9月ごろになるとオトナの羽に生え替わり、やがて巣立ちのときを迎えます。
飛ぶことを覚えたばかりの彼らにとっては、見るものすべてが目新しいのでしょう。秋の海では、まだ腹部に灰褐色の斑模様を残した若ドリたちが、船を目指して飛んでくることがよくあります。空中でホバリングする彼らに上からじっと観察されていると、なんだか落ち着かない気持ちになります。
外洋域を走っているときに、カツオドリが船に舞い降りたことがありました。休息のつもりなのか、船やヒトに興味があったのか、水かきのついた黄色い足で手すりに器用に停まりました。そして、停まったまま、すぐ横にいる人と互いをじっと観察しあっていました。一方、停まろうとしたもののうまくいかずにバタバタと飛び去ってしまったトリもいました。
船だけでなく、海の生き物も彼らにとって好奇心の対象です。ザトウクジラがようやく見られはじめたころ、南島沖でクジラウォッチングをしていたら、カツオドリたちも集まってきました。歓迎しているのか物珍しいのか、クジラが浮上してくるたびに若ドリがブローの周囲に群がります。ちょっとヒッチコックを想起するような、黒山のトリだかりでした。
また、わたしたちがイルカとスイムをしているときにも、その上空によくカツオドリが飛んできます。泳いでいるすぐ横に何かが落ちてきた!と思ったら、真っ逆さまにダイブしてきたカツオドリだった、なんてこともありました。彼らもドルフィンスイムをするつもりだったのでしょうか・・・?
そんなお茶目な若鳥たちも、次々と南へ旅だっていき、年末にはすっかり姿を見かけなくなりました。
長旅を乗り越えて春にまた元気に戻ってきて、新しい生命を育んでゆくさまを見られるのを心待ちにしています。(KOKORO)
★クリスマスイルミネーション★
小笠原は東京から約1,000km南に位置していますが、常夏の島というわけではなく、冬はそれなりに寒いです。といっても平均気温は20℃前後なので、島民の「寒い」は、「ギョサンの足が冷える」「半袖短パンで過ごせない」という程度ですが。
そんな冬の島を彩るのが、船客待合所前のがじゅまるのイルミネーションです。今シーズンは12月11日に点灯式が行われました。この日程は、クリスマス目前、という理由もあるのですが、実は南島などで繁殖しているオナガミズナギドリの巣立ちが終わる時期に合わせているのです。
オナガミズナギドリは夜に巣立ちます。彼らは光に誘引される性質があり、暗い海に初めて飛び立つ若鳥たちは、街灯や建物の明かりに引き寄せられてしまいがちなのです。陸地から飛び立つのが苦手な彼らは、一度地面に降りてしまうとなかなか飛び立つことができません。不時着で脳震盪を起こしたり、飛び立てずにいるうちに交通事故などで命を落としてしまったりという危険性があります。それを避けるため、オナガミズナギドリの巣立ちが完了するまで、イルミネーションの点灯を待っていたのです。
点灯式当日には、ミズナギドリ類の生態の解説が行われ、聖歌隊によるクリスマスソングの披露で華を添えました。
クリスマス時期に来島されるかたは、美しいイルミネーションを楽しみつつ、海鳥たちの生態にも思いを馳せてみてください。(KOKORO)
★おがさわら丸スケジュール★
2020年のおがさわら丸スケジュール、もうチェックされてるでしょうか。
ゴールデンウイーク・夏・年末年始には、いつも通りに着発便を運航します。復路の父島発と東京着は15時30分に変更します。
寄港便も予定しています。東京発4月15日便・5月13日便は久里浜寄港、6月25日便は八丈寄港(東京発10時)、10月16日便は館山寄港、10月23日便は大島寄港です。それぞれ、父島と東京の到着予定時刻が40分遅れとなりますので、ご注意下さい。
そのほか、7月2日発便は父島到着後に硫黄三島クルーズ、10月9日便は西之島クルーズを実施予定です。
また、小笠原海運では、2月12日から3月26日まで、「氏名が社名でマシ×2割キャンペーン」を行ってます。3~10名のグループでのご乗船で、お名前に「小」「笠」「原」「海」「運」の漢字が入ってる人がいれば、その漢字一文字につき全員の特2等寝台料金が10%の割引です。五文字入っていれば50%割引とは、お得ですね!
船内のショップドルフィンにて販売中のチャムスとのコラボグッズも、新たな品物が増えています。
どれもこれも気になりますね。さっそく、どの便にしようか、ご検討を!(TOMOKO)
★羅臼シャチウォッチングツアーのご案内★
近年、羅臼沖でのシャチの目撃例が増え、ウォッチングツアーも人気です。
写真家であり海洋ジャーナリストでもある水口博也さんが、2020年6月、船をチャーターしてウォッチングツアーを催行します。通常のツアーよりも人数を限ってますから、居心地よくシャチを楽しめるはずです。今回は海外のシャチ研究者も同乗されるそうですから、きっといろいろな知見や情報を得られることでしょう。
興味のあるかたは、下記をご覧になり、直接お問い合わせ下さい。(TOMOKO)
★Tomocolumn 41「クジラへのアプローチ」★
ホエールウォッチングもドルフィンスイムも、以前はごく一部の人しか知らなかったのですが、昨今はだいぶ認知度が上がってきました。テレビや雑誌、広告などでクジラやイルカの姿を見る機会も増えています。
1988年に日本で初めてホエールウォッチングを始めた小笠原では、ヒトからのアプローチによって彼らの生息を脅かさないようにと、いくつかの自主ルールを設けています。そのためもあってか、小笠原で見られるクジラの数は年ごとに増えていて、より近くでより充実したウォッチングができていると感じています。
ただ、ここで再確認しておきたいのは、より近くで見られるようになったのは、決してボートが近付いてるからではなく、むしろ、一定距離でボートを停めて見守ってきたおかげで、気を許したクジラがボートを嫌がらなくなったからだということです。
今、世界や日本のあちこちでクジラやイルカが観光の対象になってます。ウォッチングツアーが盛んになるにつれて、その弊害も報告されてきました。
例えば、近年ウォッチングツアーが始まったスリランカでは、観光客が増えるにつれてツアーボートも激増しています。呼吸に浮上したクジラめがけて数十隻もの船が突進するので、クジラは慌てて潜っていきます。今では、遠くからのエンジン音を聞くだけで急いで泳ぎ去り、はるか遠くまで逃げているそうです。
ドミニカでも、ウォッチングボートが増えて、クジラが減っていると聞きました。
トンガでは水中からアプローチするホエールスイムが人気ですけど、次第にスノーケリング初心者が増えています。にもかかわらず競い合ってクジラへ泳ぐからか、負傷例や死亡例が出ています。
SNSの影響も無視できません。ぶつかりそうなほど近付くクジラの写真や映像には、恐怖よりも羨望を覚える人が多いようです。より刺激的な写真を求めてよりクジラに接近しがちです。海上でアップされた写真をすぐに海上からネットで見た観光客が同じクジラを探して追い回すこともあるそうです。
本来、ヒトが野生生物へ接近する場合には、まず、相手に悪影響を与えないように心がけるべきでしょう。相手の感情を尊重し、その生息環境への配慮は必須でしょう。もちろん、ヒト自身の安全管理も求められます。
スタッフ側も、そのツアーを長く続けようと思うなら、対象とする生きものがいなくならないよう考慮すべきなのは自明のはずですし、現地をよく知りはしないだろう観光客へのガイダンスも必要でしょう。でも、残念ながら、一部には対象の生きものを消耗品ととらえているツアー催行者もいるようです。
参加者側の意識向上も望まれます。それぞれが、野生生物の生息域へ踏み込むさまざまな危険性を認識すること、適切なツアーを行っている業者を選ぶこと、現場で生きものの様子をよく観察すること、脅かしたり追い詰めたりしないこと、等々。
どなたにも、しかるべきマナーをわきまえて、互いの安全第一にフィールドに出たうえで、野生生物の世界を垣間見る歓びを感じていただきたいと願っています。(TOMOKO)
★夏期アルバイト募集★
Sea-Tacでは、夏期のアルバイトを募集しています。
2020年7~9月の間で8月を含む一ヶ月以上働けるかたが対象で、ツアー催行に伴う全ての作業のお手伝いをしていただきます。
仕事経験は問いませんが、ツアーの性質上、スノーケリング経験は必須です。
アルバイト期間終了後、互いに合意があれば、正規スタッフとして採用の可能性もあります。
詳しくは、下記を参照の上でお問い合わせ下さい。(TOMOKO)
★お知らせ★
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