サンタバーバラは、ロサンゼルスから北へ車で2時間の場所にある、美しい街です。沖のチャネルアイランドとのあいだで鯨類が多く見られ、海洋サンクチュアリにも指定されてます。
街からウォッチングボートに乗ると、いろいろなイルカクジラに会える可能性があります。
私が参加したのは、Condor Expressというツアーボートでした。ここの情報によると、冬から春にかけてはコククジラ、夏から秋にかけてはシロナガスクジラとザトウクジラ、そして通年、マイルカ・ハンドウイルカ・イシイルカの遭遇率が高いとのことです。
2009年6月20日〜28日
ウォッチングのボートツアーは10時出港で、ひとりUS$94です。カタマランタイプのボートには、90名くらい乗船してました。70名ほどが座れるメインキャビンの他に、トップデッキに見晴らしが良さそうな椅子席と、舳先と船尾にそれぞれ座れるスペースがあります。
この日の海況は穏やかだったのですが、かなりのスピードで走るのでそれなりに飛沫がかかります。最初は外にいた人も、やがてキャビンに入ってきました。
出港後、入り江の出口のブイにはお決まりのアシカがいます。愛嬌ある姿をウォッチしてから、沖へ。
30分くらい走ったら、マイルカの群れが寄ってきました。船首波に乗ったり併走したり、胴の配色がくっきり見えて、美しいです。船が走り抜けても、まだ後ろでジャンプしてました。
またしばらく走って、次はシロナガスクジラです。数頭があちらにもこちらにもいます。どうやら、親子が多いようです。
けっこう船の近くで見られるので、水面下の青いからだがわかります。採餌中で深くは潜ってないからでしょうか、全く尾は上げませんでした。
数頭のシロナガスの高いブローと長い背中を次々ウォッチしました。解説のアナウンスが流れる中、お客さんはそれぞれの場所から撮ったり見たりされてます。ボートの一番上では、ID写真を撮ってる研究者らしき姿もありました。
しばらくクジラをウォッチしたあと、ボートは島に近づいて、アザラシやハクトウワシを眺めます。洞窟を見てから、進路を変えて帰途につきます。
14時20分に帰港。時間配分は、行きと帰りにそれぞれ1時間半、ホエールウォッチが30分、マイルカが30分、といったところでしょうか。
それにしても、長年の憧れだったシロナガスがこんなに簡単に見られてしまうとは。特にクジラ目当てではなくて観光のついでにツアーに参加したらしき乗客たちの様子に、なんとも、嬉しいような口惜しいような、でした。
翌日以降は、ヘリコプターからの観察でした。サンクチュアリの外で、高度規制を受けてのウォッチですけど、それなりにクジラを見ることができます。
数回乗ってつくづく感じたのは、その時によって彼らの行動が全く違うことです。船上からのウォッチでは、どのクジラも同じ動きに見えましたけど、空中から見下ろすと、クジラによっても異なるし、日によって時間帯によって、全く違う行動をしてます。もちろん、海況や天候、潮の流れや餌の状態にもよるのでしょう。
ここでは主に採餌してると思われますが、その採餌の仕方も変わります。真下に潜って深みで食べていたり、中層に餌があるのか掬い上げるように浮上してきたり、または水面をさらっていたり。シロナガスは細長いのだけど、餌を含んでウネを大きく膨らませてると、まるでオタマジャクシのようです。
上からも、海の透明度が悪いのはよくわかります。クジラが尾を上げて潜っていっても、すぐ見えなくなります。たぶん、透明度は2メートルくらいでしょうか。
オキアミが帯状にまとまってるのもはっきりわかり、当然ながら、クジラたちも同じところに集まってます。オキアミの帯からちょっと外れると全くブローがなくて、当たり前なことに改めて感じいります。
シロナガス以外にザトウクジラも見られました。やっぱり、ザトウは、シロナガスより派手なアクションが多いです。彼らも採餌してるはずなのに、何回も親子でブリーチを繰り返してくれて、パイロットも「Amazing!!」って、大興奮してましたっけ。
また、マイルカの大群がジャンプしながら移動してるさまは、海面に幅広の白いレースがさーっと広がっていくようで、とても鮮やかでした。
船上からのウォッチと空中からのウォッチと、ふたつの目線からシロナガスクジラをゆっくり観察できた、ラッキーなサンタバーバラでした。