今日の小笠原は、「午後からところにより雨」の予報です。
 朝がたは雲に覆われていた空が、出港時には青空を覗きました。
 さて、天気予報はあたるでしょうか。
湾を出たところでしぶきが上がりました。
 ザトウクジラです。 
 でも、16分待っても姿を現しません。
 呼吸間隔が長いようで、このクジラは諦めて南へ向かいました。
南島の扇池から、泳いで上陸しましょう。 
 サンゴダストの浜へ上がると、陽差しが降り注ぎました。
 海の青も、砂の白も、木の緑も、一段と輝いて見えます。
 美しい南島をご案内できました。

船に戻り、ジニービーチ・ジョンビーチを眺めます。
 ここの海の色もまた、濃淡が重なる青です。
 そのまま北上しかけたら、イルカの情報が入りました。
 南島の西にミナミハンドウイルカとのことです。

向かったイルカたちは、いったん潜ると次の浮上までが長いです。
 方向も変わりやすく、どうにかエントリーすると、7頭のイルカでした。
 ひとつにまとまっていますが、目をつぶっているイルカが多く、どうやら寝ているようです。
 南島海域公園内で、底が浅く、透明度も抜群です。
 潜ったイルカのシルエットが、海底の白砂に映えます。

泳いでいるうちに、イルカの呼吸とタイミングが合いました。
 すーっと浮上してきたイルカは、すぐ横で息継ぎし、そのまま並びます。 
 思わぬ近さに、皆さま大喜びです。
 ゆったりしたイルカたちとのスイムになりました。

キャベツビーチに向かう途中で、今度は兄島瀬戸のイルカ情報です。
 準備をして水中へ入ると、3頭のミナミハンドウイルカがいました。
 が、ヒトに気付いたとたん、サッと逃げるように潜っていきました。 
 とても神経質な群れです。
 逃げるイルカを追い回したくはないので、スイムは切り上げました。
キャベツビーチに着くと、それまで曇っていた空に、また太陽が出てきました。 
 水温もいつもより高めです。
 たくさんのサカナとサンゴに囲まれながら、スノーケリングを楽しみました。

午後は、瓢箪島の北でクジラウォッチングです。
 20分という長い呼吸間隔だそうですが、案外すぐに見つけられました。
 2頭のクジラは、ブローを繰り返してから潜っていきました。

他船と一緒にザトウを見ていると、沖にハシナガイルカの群れがいるとの声が上がりました。
 クジラを後回しにして、ハシナガに向かいます。
 70頭ほどが、各船を囲んで泳ぎます。
 顔を出したり、スピンジャンプをしたり、なかなかアクティブです。

群れの中には、まだ小さな子イルカもいました。
 大人たちに守られながら、元気にジャンプも見せます。 
 水面下を泳ぐイルカが仰向けになると、白いお腹がよくわかります。
 そのまま海上にからだをのり出す、ご機嫌なハシナガイルカもいました。

ハシナガの群から離れて、改めてザトウウォッチングです。
 クジラたちは、先ほどと同じ穏やかな海域で、ゆっくりしています。
 それぞれが、おもむろにフルークアップダイブです。

船は停まったままで、次の浮上を待ちました。
 呼吸間隔が短くなったと聞いたのに、なかなか現れません。
 また20分間隔になったかと油断していると、目の前で巨体が跳び上がりました!
 それはそれは見事な、豪快なブリーチングです。
 あまりにも突然で、カメラが追いつきません。
 その近さと迫力に、大きな歓声が上がりました。

クジラは、ペダンクルスラップやペックスラップを続けます。 
 オスがメスにアッピールしているのか、それとも、オスを追い払おうとしているのか。
 さっきまであれほどのんびりしていたのに突然アクティブになるとは、これだからクジラの動きは全く予測できません。

潜ったと思っても、また荒々しくブローを吐いて頭を出します。
 ザトウシーズン終盤の今、彼らの恋の争いもいよいよ熱くなっているのでしょうか。

帰港と同時に、雨が降り出しました。 
 どうにかぎりぎりまでお天気は保ってくれました。
 肝心なときには太陽も出てくれて、イルカやクジラとの出会いもドラマチックな今日のツアーでした。(NAOMI)

