太陽が顔を出し、海の景色が一層濃く色づきました。
でも北風が強く、風を浴びると一気に冷え込みます。
小笠原も、まだまだ防寒着は必須です。

潮が高い内に南島へ向かいます。
扇池を覗くと、昨日までのうねりが残っています。
泳いでの上陸は難しそうです。今日は諦めましょう。
ハートロックで写真を撮り、ジニージョンビーチの前を通りました。

南浮磯沖にミナミハンドウイルカとの情報が入りました。
タイミングを合わせてエントリーします。
ヤングが1頭こちらへやって来ました。
そのままヒトと絡んで遊びます。

次のエントリーでは、イルカたちがまとまりました。
全部で5頭いたようです。
群れとしてはヒトに興味は無く、移動モードです。
先程フレンドリーだったヤングも一緒に、私たちの下を通過していきます。
束の間のイルカたちとのスイムとなりました。

近くにはザトウクジラもいました。
単独行動で、尾を上げて潜っていきます。
潜ったザトウの上に船を停めると、水中マイクを使わずともソングが聞こえてきました。
いつもとは違う、珍しい音の組み合わせです。
海面から湧き上がってくるザトウのメロディに耳を傾けました。

儀兵岩沖に親子とエスコートの3頭です。
次の浮上を待っていると、舳先すぐ下に黒い影が浮かび上がってきました。
ザトウです!そのまま至近距離で親子共々ブロー。
突然の超接近に、船上は歓声に包まれます。

興奮冷めやらぬ中、また親子が近付いて来ました。
そちらに注目していると、その後ろからもブロー音が。
エスコートも親子に釣られて、寄ってきてくれました。
太陽が降り注ぐ水面下には、彼らの巨体がくっきりです。
これだけ近いと、その大きさも一目瞭然です。
長い胸ビレを広げて、優雅に舳先を横切っていきます。
そして、目の前でフルークを高く持ち上げて潜っていきました。

兄島海域公園でお昼休憩をとります。
サカナに囲まれてのスノーケリングもお楽しみいただけました。

午後は、西沖に船を走らせます。
イルカの背ビレが海面上に現れました。
ハシナガイルカです。60頭ほどいるでしょうか。
うねりに乗りながら船と並走してきます。
ご機嫌なハシナガたちは、夜のエサ取りに向けてどんどん沖へ泳いでいきました。

鼻息が荒いメイティング集団を見つけました。
クジラ同士の距離が近く、お互いに牽制し合っています。
水面下で追いかけ回している姿が見られます。
アンダーウォーターブローで相手を脅かしています。

ヘッドスラップをしている個体もいます。
胸ビレを出した時もありました。
優劣を付け合いながら、クジラたちは北上していきます。
と、群れが二手に分かれました。
決着が付いたのでしょうか。
大人しくなったあとも新たなクジラが合流したりと、離合集散を繰り返していました。

さて帰りましょうか、と向きを変えたところでアクティブな親子がいました。
子クジラが身体を反らせて跳んだと思ったら、母クジラが胸ビレを舞わせて跳びます。
やはりアダルトのブリーチングは大迫力で、着水音が船まで響いてきます。
子クジラも力一杯ブリーチングをしますが、アダルトのあとだと可愛く見えてしまいます。

親子が交互に跳んでいると、エスコートも大ジャンプです。
ブリーチに満足すると、連続テールスラップも。
最後の最後まで楽しませてくれたザトウたちでした。

冬の三鯨種全てに会えたことはもちろん、クジラが色々な姿を見せてくれた1日でした。
超接近に始まり、メイティング、ヘッドスラップ、ペックスラップ、ブリーチングにテールスラップと、主な行動をコンプリートです。(NAOMI)