台風19号の影響で、先週は小笠原に強い風が吹き荒れていました。
おがさわら丸も欠航となってしまい、来島を予定されていた観光客のかたはさぞ残念だったことでしょう。
また、浸水被害等があった地域の皆さまには心よりお見舞い申し上げます。
小笠原では幸い大きな被害もなく、今日からボートツアーを再開です。

二見湾を出て南に向かおうとしていると、湾口で他船がミナミハンドウイルカを見つけたようです。
出港してすぐ出会えるなんて、ラッキーですね。
はじめは1頭だけかと思いましたが、少し離れたところにもう1頭いました。
早速、水中にアプローチしてみましょう。

あら、お食事中でしたか。サカナをくわえて食べています。
サカナに夢中でヒトには興味がない様子ですが、それでも並んで泳がせてくれました。
こんな姿を見られるのも、野生の生き物と出会うツアーの醍醐味ですね。

あまり食事を邪魔しても悪いので、スイムは早めに切り上げて南島へ向かいましょう。
上陸してみると、台風が猛威をふるった痕跡があちこちに見て取れます。
ルート脇のクサトベラやハマゴウは、塩害で枯れ葉だらけです。
地中に掘られたオナガミズナギドリの巣穴のいくつかは、天井が抜けてしまっています。
扇池の砂浜は後退し、一部はざっくりえぐれていました。

東尾根に登ると、どこからともなくカツオドリの若鳥が飛んできました。
物珍しそうに私たちを見下ろしながら旋回しています。
巣立ったばかりの若鳥たちにとっては、見るものすべてが目新しいのでしょう。
船に戻ると、海面で寄り集まって休息している姿も見られました。

ジニービーチ、ジョンビーチの前を通って北に向かいます。
ウェザーステーションの下あたりで、またミナミハンドウイルカを見つけました。
エントリーしてみると、朝泳いだのと同じイルカたちでした。
今度は2頭が寄り添って、ゆったりと泳いでいます。

透明度も良く、日射しも明るくて、海の青が美しいです。
イルカたちはお腹が満たされて満足したのか、誘うと少しだけ回って遊んでくれました。

浅沈というポイントに船を停めようとしたところ、すぐ近くでハシナガイルカの情報です。
近付いてみると、70頭ほどの群れが休息モードで行ったり来たりしていました。
群れには小さなコドモも混じっています。
まだオトナほど呼吸が上手でないので、呼吸のたびにぴょこんと飛びだしてくるのが愛らしいです。

船の舳先にも寄ってきてくれました。
名前の由来になっている、ほっそり長いクチバシがよく分かります。
彼らも船上の私たちをウォッチングしているのかもしれません。

兄島の滝之浦の岩肌が崩落していました。
台風の影響はこんなところにも出ています。

イルカとの出逢いが続いたために遅くなりましたが、キャベツビーチでランチとスノーケリング休憩にしましょう。
サカナの方からヒトに近寄ってくるさまに、驚きの歓声が上がります。
その中には、ゴイシウミヘビという、ヘビに見えるけど毒のないサカナもいます。

ランチの後に再び滝之浦を通ると、さっきのハシナガたちが少しアクティブになっていました。
午後遅くに採餌のために沖に向かうのに向けた準備運動でしょうか。
得意のジャンプ行動も見せてくれました。

先ほど停まりかけてスルーした浅沈で、最後にスノーケリングをしました。
太平洋戦争中に沈められた船の残骸は、朽ちてもなお、多くのサカナたちの住みかになっています。
今日は、ハナミノカサゴが見られました。

穏やかになった海で、2種類のイルカたちとの出会いと、2ヶ所でのスノーケリングを楽しんでいただきました。
もうしばらくはこの凪が続いてほしいものです。(KOKORO)