東風が吹き続けています。
二見湾を出て、まずは南に向かいます。

南島の西側でイルカを探していると、仲間の船から、近くでイルカを見つけたとの情報をもらいました。
わたしたちも早速向かいましょう。

エントリーしてみると、真っ青な海の中をイルカたちが真っ直ぐ泳いできます。
海面の波模様がイルカの背中に映えるさまが美しいです。

1頭のイルカが寄ってきて、ヒトを一人一人覗きこんでいました。
潜って誘うと一緒に回ってくれる、遊び好きのイルカです。

6頭のイルカたちは、サンゴダストの白砂の上を泳いでいきます。
透明度が良いので、イルカが海底近くまで潜ってしまっても、その姿をはっきりと見ることができました。

近くで観察すると、背ビレや胸ビレに細かい傷や切れ込みが入っているのが分かります。
こういった特徴が、個体識別の手がかりになります。
水面に顔を出す直前、水中でイルカの吐いた息が白く見え、まるで帽子のようです。

イルカたちは南下して、荒れている海域に向かっていきます。
ぎゅっとまとまっていた群れの形は、次第に広がってきました。
動きも早くなってきたので、このイルカたちへのアプローチはこれで終わりにしましょう。

南島の扇池のアーチの下は、波が激しくなったり弱まったりを繰り返していました。
スタッフを先頭に、タイミングを見極めながら泳いで上陸しました。

アオウミガメの孵化シーズンもそろそろ終盤です。
夜間に孵化して海まで歩く稚ガメたちですが、中には海に辿り着けずに力尽きてしまう個体もいます。
彼らの兄弟たちが、大海原で元気に成長してくれることを祈るばかりです。

ちょうど陽が射して、南島周辺の海の青がより一層の美しさです。
浅いところはエメラルドグリーンに、白砂の上は淡いブルーに、岩や海藻の上は濃い青に、とグラデーションがかかっています。

船に戻って、キャベツビーチでランチとスノーケリング休憩です。
兄島には、オガサワラゼミの賑やかな声が響いていました。

午後は北上しながらイルカを探します。
弟島まで来たところで、岸寄りに背ビレを見つけました。

5頭のイルカがまとまって泳いでいます。
1頭はヒトに少し興味があるのか、視線を合わせて誘うと一緒に回ってくれました。

横に並ぶと、じっとこちらを見ています。
目元も口元も笑っているように見えるけれど、内心ではいったい何を考えているのでしょうか。

遊びモードではなくのんびりモードらしいイルカたちは、時折方向を変えながらゆっくりと泳いでいます。
それでも、ヒトのことを嫌がるでもなく、すぐ側を通過していきます。

胸ビレをこすりつけてラビングしたり、じゃれるように一緒に潜ったり、というイルカらしい行動も見せてくれました。
イルカの正面顔は、ちょっと間が抜けているけれど愛らしいです。

最後に兄島の滝之浦の浅沈でスノーケルタイムにしました。
海面に浮いているだけでも、朽ちかけた沈船の残骸がくっきりと見えます。
少し潜れば、沈船を隠れ家にしている大小のサカナたちを間近に見ることができます。

陽が傾き、風も肌寒くなってきました。
そろそろ帰港しましょう。
2群のイルカたちとたっぷり泳いだ1日でした。(KOKORO)