今日は、島一面がガス(海霧)に覆われています。
4月には、こんな天候の日が時々あります。
出港時にはとびうお桟橋のあたりのガスはなくなりましたが、湾口から沖にはまだガスが広がっています。
不思議な世界へ飛び込んでいくようです。

濃いガスに、周りが全く見えません。
GPSを頼りにそろそろと船を進ませます。
ようやく瀬戸まで来たところで、イルカの情報が入りました。
「どこで?」と聞いても「ガスに覆われて、ここがどこだかわからない」とのことです。
緯度と経度を尋ね、またGPSを頼りにUターンしていきました。

辿り着くと、ミナミハンドウイルカとハシナガイルカの混群でした。
今日のお客様はスイムはされない方たちでしたので、船上からのウォッチです。
40頭ほどのミナミハンドウイルカがゆっくり舳先を通っていきます。

ハシナガイルカは50頭ほどいて、少し広がっています。
船の前も横も後ろもイルカの背ビレだらけです。 イルカ同士で絡んだり、スパイホップをしたり。
白いガスを背景に動く黒いイルカたちという、珍しい光景でした。

時間と共にガスも徐々に薄れ、クジラのブローを見つけました。
3頭の大人のザトウクジラです。
呼吸間隔が短くて、方向はてんでんバラバラです。
もしかしたら、メスを狙ってオスたちが追い回しているのかもしれません。

間近に浮上してくると、その迫力に驚かされます。
3頭は次々にブローを高く上げ、潜っていきました。

キャベツビーチでお昼とスノーケリングタイムです。
いよいよ、待ちに待った太陽が出てきました。
海の青が増して、9年振りのリピーターさんは、街中は変わっても海中は変わらないとおっしゃってました。

午後は、南に向かいます。
タコ岩の辺りに、午前に会ったハシナガイルカがいました。
日の光を浴びるハシナガは、先ほどよりも一段と美しいです。

ザトウクジラもいました。
2頭と1頭の群れが、それぞれブローをしてからやおら潜っていきました。

昨日から続いた凪で、南島へ泳いで上陸しました。
ちょうど他の人影も少なくて、気持ち良い島の景色をご案内できました。

南島の周りでは、帰ってきたカツオドリが増えています。
これからいよいよ繁殖シーズンが始まります。
今は、その準備に大忙しというところでしょうか。

南島から戻り、最後にザトウウォッチです。
初めは2頭だった群れが、合流して3頭になりました。
うち1頭は胸ビレの上側が白いホワイティで、水面下でもよくわかります。

呼吸間隔が短いこの3頭も追いかけっこをしているのでしょうか。
彼らにとって恋の季節の最終盤のせいか、今日はそんなクジラばかりです。
3頭揃って、勢いよく北へ移動していきました。

毎日ザトウを夢中になって見ているうちに、季節は移りつつあるようです。
心なしか一時よりはザトウが少なくなり、イルカに遭う確率が上がっています。
カメやカツオドリを見る機会も増えています。
とはいえ、ザトウたちには、まだまだ北へ去らずに小笠原に留まっていてもらいたいものです。(NAOMI)