7月になり、観光客の皆さまへの来島自粛要請が解除されました。
ようやく、父島が夏らしく賑わっています。
今日はわたしたちスタッフにとっても、3ヶ月ぶりのボートツアーです。
どんな出会いがあるか、わくわくしながら出港します。

二見湾口から西の空を眺めると、入道雲とは様子の違う、白い雲があります。
最近また活発に噴火活動を繰り返している、西之島の噴煙です。
約130km離れていますが、高く上がる噴煙は父島からもよく見えます。
その高さは、火口上8300mにまで達したそうです。

南へ船を走らせ、南島に上陸しましょう。
貸切状態の扇池の白砂の浜には、アオウミガメの産卵上陸跡が広がっていました。
ちょうどこの時期は、産卵シーズンのピークに当たります。
一方で、シーズン序盤に産卵された巣からは、早くも稚ガメたちが孵りはじめています。
出産・孵化どちらのシーンにも遭遇の可能性がある、ウミガメハイシーズンですね。

暑い南島を歩いた後は、船までのスノーケリングがひときわ心地良いです。
海はすっかり夏で、鮮烈なボニンブルーです。

ハートロックの前で記念撮影をして、父島の東側を北上します。
南バラバラ岩のあたりで、アオウミガメが2頭浮かんでいるのを見つけました。
船が近づいても潜らず、しばらくウォッチングさせてくれます。
甲羅の丸みにもそれぞれ個性があります。

兄島海域公園のキャベツビーチでお昼休憩にしましょう。
陽が差し込むと、海底のサンゴがくっきりと透けて見えます。
海中では、久しぶりのお客さまをサカナたちが大歓迎です。
スノーケリングを楽しんだり、フライングデッキから飛び込んだり、笑いの絶えないランチタイムでした。

午後は兄島の東側で、イルカを探します。
他の船から情報をもらって向かった先には、ハシナガイルカとミナミハンドウイルカ両方の姿がありました。
まずはミナミハンドウイルカ目指して、エントリーです。

8頭のイルカたちが、真っ青な海の中をゆったり泳いでいます。
ヒトと絡みはしないけれど、嫌がらずにまっすぐやってきて並ばせてくれます。
イルカ同士が胸ビレで身体を擦り合う、ラビングという行動も見せてくれました。

よく見ると、1頭1頭顔つきや腹部の斑点もよう、傷跡などが違います。
こういった特徴を利用して、イルカの個体識別をしています。
透明度の良いところで、水温も高く、気持ちのよいスイムとなりました。

スイムのあとは、船上からハシナガウォッチをしましょう。
ヒトに対してはシャイなイルカたちですが、船のことは嫌がらずに舳先へ寄ってきてくれます。
凪いだ海を泳ぐハシナガの姿が、スマートです。

60頭ほどが広がって、のんびり休息モードです。
ときには、遊んでいるのか、アクティブに動くこともあります。
水面下のイルカもくっきりと見えます。

たっぷりウォッチングをして、そろそろこの群れを離れようとしたときです。
1頭のイルカが勢いよくジャンプしました!
数回繰り返されたジャンプに、歓声が上がります。
なんとも茶目っ気のある別れの挨拶でした。

兄島瀬戸に戻って、父島側の釣浜でスノーケリングをしましょう。
船を停めて水中に入ると、船のすぐ下にウミガメがいました。
先ほどのキャベツビーチとは異なる海中景観も楽しんでいただきました。

帰港しかけると、二見湾内に黒い雨雲がかかっています。
見る間に、その中に太い虹が浮かび上がりました。
斜めに差す日差しに照らされて、七色が鮮やかに輝きます。

今日は、ハシナガイルカとミナミハンドウイルカ両方に出会うことができました。
2種類を見比べて、身体つきや行動の違いも感じていただけたでしょうか。
これからの夏、この海で、たくさんのイルカたちとの出会いを心待ちにしています。(KOKORO)