今季初のマッコウウォッチ&ドルフィンツアー、小笠原は晴れです。
穏やかな海を南に向かいかけたところへ、仲間の船からイルカ発見の知らせがありました。
西島方面へ転針します。

教えられた西島西には、八頭のミナミハンドウイルカがいました。
岸寄りの浅いところでゆっくりしています。

エントリーすると、少し離れたところをさっと通り過ぎて行きました。
夏の海で、イルカたちのからだも青に染まっています。

イルカたちはまっすぐ向かってきて、並んで泳げました。
彼らが発する激しいクリック音が海中に響きます。
どうやら、今はイルカ同士で遊ぶのに夢中のようです。
これ以上邪魔をするのはやめましょう。

沖合へ走り、マッコウを探すことにします。
水中マイクを入れてみると、聞こえてきたのはピイピイというホイッスル音でした。
どこかにイルカがいるのでしょうか。
と、西沖にしぶきが上がりました。

近付いてみると、マダライルカです。
二百頭のマダライルカが、あちらにもこちらにも広がっています。
そして、船を目指してどんどん集まってきました。
イルカが勢いよく浮上するので、ブローが大きな泡の列を作ります。

船首波に乗ったりポーポイジングを見せたり、いかにもマダラらしいアクティブさです。
その躍動的な美しい姿に、すっかり目を奪われてしまいます。

マダライルカと別れた後は、水中にマイクを入れながら北上しました。
弟島沖で向きを変えて、南へも走りますけど、マッコウの音は聞こえません。
今日は、もっと遠くを泳いでいるのでしょうか。
残念ですが、諦めて、沿岸域へ戻りましょう。

昼休憩は滝之浦の浅沈というポイントでとりました。
今はサカナたちの孵化シーズンで、小さなスズメダイの仲間も集まっています。
水温も高く、透明度も良く、スノーケリングをゆっくり楽しんでいただきました。

滝之浦の浜には、捕鯨時代の作業場の跡が残っています。
海へ続くスロープやクジラを揚げるためのウインチ、油を絞った窯など、船からもよく見分けられます。

南島の西で、イルカの背ビレを見つけました。
でも、それきりで、次の浮上を追えません。
丹念に探し回り、ようやく、3頭を再確認しました。
急いで用意をして水中へ入ると、アダルトが真下からまっすぐ浮上して来ました。

イルカと並んで泳げるし、水中でくるりと回ってくれます。
その間、海底では、親子が授乳をしていました。

イルカたちは、一度潜ると次の浮上までが長く、方向も変わるので、エントリーのタイミングをとるのが難しいです。
でも、いざ入ると、案外近くに来てくれます。
そして、アダルトは、泳ぎながらじっとこちらの様子を見ています。
たぶん、このイルカは親子を守ってこちらを警戒しているのでしょう。
スイムも早めに切り上げた方が良さそうです。

小笠原の海では、イルカもクジラもそれぞれのペースで生息しています。
次にはどんな出会いがあるか、楽しみです。(KOHEI)