厚い雲が広がっています。
海はまだ穏やかですが、これから風が強くなり、荒れる予想です。
その前にと、出港して、まっすぐ外洋域に向かいました。
水深1000mラインを越えたところで、水中にマイクを入れていきます。
3回目で、遠くのクリックが聞こえてきました。
4回目で方向を見定めます。どうやら、複数のマッコウがいそうです。
そちらへ走って、じきにマッコウクジラのブローを見つけました。
見つけたと思ったら、すぐ近くに別のブローが上がります。
あ、また、別のブローもあります。
どうやら、今日のマッコウは群れがまとまっているようです。
近付くと、あら? マッコウではない背ビレが見えます。
マダライルカです!
マダラはマッコウにちょっかいを出してるらしく、嫌がるマッコウの動きも早いです。
マダライルカは、かなり広がっています。
いったい全部で何頭いるでしょうか。
600頭? 700頭? もっといるかしら?
それぞれが、いかにもマダライルカらしく、アクティブです。
数頭から数十頭がまとまってポーポイジングすると、海面が泡立ちます。
まだ小さい子クジラが、マダライルカに囲まれて、一緒に海面下を泳いでいました。
イルカみたいにプハッと呼吸しては、また泳いでます。
マダラの真似をしてるようです。
でもね、あなたはイルカじゃなくて、マッコウクジラなのよ。
アダルトのマッコウは、ブローを繰り返してから、フルークを上げて潜っていきます。
潜る直前に排泄することも多く、あたりの海水が茶色に染まります。
子クジラは、母クジラの後ろから潜って、乳を飲みます。
浮上して呼吸をしては、また潜っていきます。
母さんが海面にいる間にたくさん飲まなくてはね。
やがて母クジラが潜っていくと、追いかけるように潜った子クジラは、すぐに浮上してきました。
まだ、オトナのように深海までは潜れないのです。
次に母クジラが浮上するまで、ひとりで待っていることになります。
マッコウも見たいけど、マダライルカもいて、どこに走ってどの群れを見ようか、迷います。
移動を始めるマダラたち、船を追いかけてくるマダラたち、どれも気になります。
次々とマッコウ&マダラウォッチの濃密な時間を過ごすうちに、風が吹き始めました。
覗いていた青空も遠くなり、雨が降りそうです。
マッコウが深みに潜っていくのを見送って、さあ、沿岸域に戻りましょう。
滝之浦のバラ沈でランチにしました。
風が北に回り、ちょっと肌寒くなりました。
ついに、灰色の雲から雨が降り始めました。
こういうときは、むしろ海の中が暖かいです。
28℃の水温で、沈船とサカナウォッチで、長い時間泳いでらっしゃいました。
ミナミハンドウイルカを捜して、西沖から南へ走ります。
雨に濡れたハートロックは、いつもより赤が鮮やかです。
ゆっくり走って捜しましたけど、イルカを見つけることはできませんでした。
他船からの情報もなく、スイムは次の機会を待ちましょう。
二見湾に帰港しました。