今日は今年度最後のボートツアーです。
二見湾を出ようと野羊山を回りかけたところで、イルカの背ビレを見つけました。
早速水中に入ってみると、ミナミハンドウの親子です。

ヒトを嫌がらずに近寄ってきて、すぐそばを泳がせてくれました。
子イルカはヒトに興味があるようで、少しだけ回って遊んでくれます。
離れてからも、何度もこちらを振り返っていました。
朝一番の素敵な出会いに、ヒトのほうは興奮がおさまりません。

ミナミハンドウから離れて船を走らせていると、またイルカです。
小港海岸近くで、80頭ほどのハシナガイルカが休息していました。
のんびり行ったり来たりを繰り返し、船にも寄ってきてくれます。
ブローの音が聞こえるほどの近さです。
アクティブなジャンプも数回見せてくれました。

群れの中には、背ビレの横にダルマザメの丸い咬み跡がついた個体が混ざっていました。
わかりやすい特徴で、この個体を識別しやすそうです。

南島の扇池は、昨日よりも波があります。
それでも、今日の皆さまなら大丈夫。
問題なく上陸して、美しい景観をお楽しみいただきました。
小さな島ですが、たくさんの海鳥たちやアオウミガメの繁殖地となる貴重な場所でもあります。

船に戻って、今度は5頭のオトナクジラたちの群れをウォッチングします。
交尾集団になっていて、動きが不規則です。
ときどき威嚇するように顔を水面に突き出します。
ブローの音もひときわ大きく、荒々しいです。

ランチとスノーケリング休憩は、兄島海域公園のキャベツビーチで取りました。
かつて浜辺にキャベツヤシが群生していたことから、この名前がついています。
キャベツヤシは食料として利用され、今ではこのビーチでは見られなくなりました。
まだ父島列島の一部地域で自生しているので、興味のある人は捜してみてください。

お昼ご飯を食べながら兄島瀬戸を眺めていると、クジラのブローが上がりました。
親子ともう1頭、オトナのクジラが付き添っています。
クジラたちはしばらく波乗りを楽しんだあと、ゆっくりと西へ向かっていきました。
あとからもう1組の親子も通っていきます。
ウォッチングをしながらの、贅沢なランチタイムでした。

午後はまず、人丸島・瓢箪島のあたりを探します。
ハイドロフォンを下ろしてみると、ザトウクジラのソングが聞こえてきます。
すぐ近くではありませんが、不思議な抑揚のある旋律をお聞きいただきました。

さらに南へ戻ると、また5頭の交尾集団に出会いました。
今度はオトナばかりではなく、親子クジラをオスたちが追いかけています。
オトナの中には、胸ビレの表側まで白い個体がいました。
わたしたちはこういう個体のことを、ホワイティと呼んでいます。

沖にアクティブな子クジラがいるので、そちらへ移りましょう。
子クジラは、ジャンプをしながらこちらへ真っ直ぐ向かってきます。
止まってくれそうもないので、船は慌てて後ずさりです。
舳先すぐそばでも、元気なジャンプを見せてくれました。

やがてお母さんが浮上してきても、まだジャンプは続きます。
もう1頭のオトナクジラは、船のすぐ近くに浮上してきました。
おそらく、母クジラとの交尾のチャンスを窺っているオスクジラでしょう。
船を邪魔に思って、威嚇しに来たのかもしれません。
ブローの飛沫が、船上にいるわたしたちにまでかかりました。

次に見つけた親子クジラも、コドモがアクティブでした。
ゆっくりした動きのブリーチを一度したあと、海面でごろごろ遊んでいます。
まだ小さくて可愛らしい胸ビレを、ぱたぱた振って見せてくれました。

名残惜しいですが、そろそろ帰港の時間です。
今日はスイムもウォッチングも存分に楽しんだ、充実の1日でした。
違う季節にはまた違う生き物との出会いがありますし、海の表情も異なります。
ぜひまた小笠原に遊びにいらしてください。(KOKORO)