強く吹いていた風が東に回り、西側の海況は落ち着きました。
今便はクリスマスで、次便は年末年始にあたります。
Sea-Tacでも、ドルフィンスイムツアーではなく、ホエールウォッチングツアーがスタートです。
出港してまずは、南島を目指します。
扇池は、昨日までの風の影響で波立っていました。
今日は上陸を断念しました。
ハートロック背景に写真を撮り、ジニービーチ・ジョンビーチの白砂をご覧いただきます。
兄島の滝之浦に親子クジラがいるとの情報をいただきました。
最近、滝之浦に留まっているというザトウクジラでしょうか。
近付いてみると、親子がゆっくりしていました。
母クジラのふっくらした体つきと比べて、子クジラはまだ皮下脂肪が少ないぶんほっそりしています。
母クジラが、浮上前にアンダーウォーターブローを見せました。
オス同士の争いでよく観察される威嚇行動ですが、どうしたのでしょう。
何やら、子クジラを叱ったのでしょうか。
それにしても、ザトウシーズンも始まったばかりだというのにもう子どもが見られるとは、ずいぶん早生まれの子クジラです。
そのうえ滝之浦に留まっているなんて、3年前のタッキー(と呼ばれていた子クジラ)を思い出します。
(詳しくは、Sea-Tac写真集「クジラの楽園」のコラム、「早生まれの元気な子クジラ、タッキー」をご覧ください。)
母クジラは数回ブローを繰り返し、尾を上げて潜っていきました。
尾を上げないで潜ってしまう母クジラのほうが多いので、珍しいです。
子クジラも母を真似て尾を上げようとするのですが、まだまだへたっぴで上手くできません。
何度もトライするその姿は、子どもらしく可愛らしいです。
大人のように深く長く潜れない子クジラは、頻繁に浮上してきます。
そのたびに現れる場所や向きが定まらず、あっちにふらふらこっちにふらふらしています。
船に近付いてくるかと思いきや、次には違う方向を向いているので、つい期待をしては挫かれます。
そのうち、私たちの呼ぶ思いが通じたのか?、子クジラが左舷すぐにいきなり現れました。
突然の近いブロー音と思いのほか大きな子クジラの姿に、驚きの声が上がります。
と、次の瞬間、今度は母クジラが浮上してきました!
距離にしてほんの2~3メートルぐらいでしょうか。そのあまりの大きさと迫力に、船上は大興奮です。
急いでカメラを構えるかた、より近いところに移動されるかた、それぞれが圧巻の光景を見逃さないよう、固唾を呑んでいました。
船のすぐ側でブローを繰り返したあと、母クジラは子クジラを連れて離れていきました。
それまで動きがのんびりだった母クジラは、もしかしたら眠っていたのかもしれません。
知らず知らずのうちに、子クジラと共に船に近付きすぎてしまい、慌てたのでしょうか。
いずれにしても、最高の親子超接近でした。
親子クジラから離れて、キャベツビーチでお昼とスノーケリング休憩をとりました。
相変わらずのサカナの多さで、皆さま、すっかり囲まれていました。
午後は、イルカクジラを探しながら、兄島・弟島と北上しました。
鹿浜でUターンして、滝之浦のバラ沈でスノーケリングタイムです。
少し離れたところでは、まだ先ほどの親子クジラも確認できました。
父島の沖合で、1頭のザトウクジラのブローを見つけました。
このクジラは、動きがとても不規則です。
3分や5分の間隔で浮上して来ることもあれば、10分以上潜っているときもあり、尾を高く上げたり上げなかったりと、妙な行動でした。
そのあとは、南島をぐるっと周って岸寄りを通りながら、帰港しました。
事務所に帰ってから、滝之浦にいた母クジラの尾ビレのIDを調べてみると、なんと、3年前のタッキーのママだったことが判明しました!
早生まれなことといい、滝之浦が好みなことといい、タッキーにそっくりだね、と話していたら、本当にこの子クジラはタッキーの弟(もしくは妹)だったのです。
母クジラが前回と同じように子育てをしているのも、貴重なデータです。
タッキーママは、よほど滝之浦を気に入ってるのですね。
この子クジラは、これからなんて呼ばれるようになるのでしょう。
タッキーのようにアクティブな行動で私たちを楽しませてくれるといいですね。
年末年始ウォッチングの主役は、この親子クジラで決まりかもしれません。(NAOMI)