昨日よりもいっそう海が凪ぎました。

ウェザー沖にハシナガイルカがいました。
40頭が、のんびりと休息モードです。
舳先にやってくると、そのシャープな身体がよく見えます。
中には、まだ小さい子イルカを連れた母イルカもいました。

真っ平らの水面下にいるハシナガたちが、船上からもくっきりです。
まるで、隔てている海がないようです。
てろんてろんなベタ凪を泳ぐ美しい姿に、溜息しか出ません。

ハシナガたちから離れたあと、南へ走りました。
南島を回り、ジニービーチ・ジョンビーチの前まで来ました。
太陽に照らされて、南島海域公園も美しく輝いています。

人丸島にミナミハンドウイルカがいるとの情報が入りました。
海に入ると、16頭ものイルカでした。
人丸島海域公園の浅根を泳ぐイルカたち、その背景にはサンゴやサカナもいます。
透明度も抜群に良く、いつまでもイルカを見ていられそうです。

若オスのグループは、擬似交尾行動で絡んでいます。
別のグループは、眼をつぶってお休みモードです。
群れの中でも、それぞれ行動が異なるのも面白いです。

ジョーやメッカ、ハートの姿もありました。
海の中はイルカたちの声で賑やかです。
ヒトと遊びはしませんでしたが、嫌がることもなくすぐ近くを通っていきます。
ときに、16頭がまとまって泳ぎ去るさまを見送ります。

ランチタイムは、キャベツビーチでとりました。
船の影にはたくさんのサカナが集まってきます。
小さなサカナたちの群れに隠れるように、大きなハマフエフキもいました。

午後は、マッコウクジラを探しに西沖へ向かいました。
水深1000mを越えたところで水中マイクを入れましたが、何も聞こえません。
南へ進みながらマイクを入れていくと、ようやくマッコウのクリック音をとらえました。
今日は、マッコウの群れは南下しているようです。
音を頼りにさらに母島方面へ走り、マッコウのブローを見つけました。

1頭を見つけると、その周りに次々とブローが上がりました。
マッコウクジラの繁殖集団です。
海面に長い背中を浮き沈みさせながら、数十回も呼吸を繰り返します。
黒い体表には多くの皺がよっています。

やおら尾柄をぐっと持ち上げて、特徴的な尾ビレを見せて、マッコウが潜っていきました。
2頭揃ってきれいにシンクロしてフルークを上げるマッコウたちもいます。
それぞれの尾ビレには、彼らの厳しい生存状況を示す傷がたくさんついてました。

クジラが去ったあとの海で、クールダウンの水浴びをしましょう。
海底から響いてくるクリック音を聞きつつ、沿岸域よりも濃い青に包まれました。

マッコウを求めてずいぶん遠くまで来てしまいました。
ははじま丸と競争するかのような帰港となりました。

ハシナガイルカ・ミナミハンドウイルカ・マッコウクジラと、夏の三鯨種と出会えた1日でした。
海も、梅雨明けの、年間を通してもっとも凪ぎる時期です。
まだまだ、台風のない穏やかな海が続いて欲しいところです。(NAOMI)