台風10号のうねりはまだ残っています。
けれど、空はすっかり晴れました。
明るい日差しの下、海の青さが戻ってきました。

出港して、まずは南島の扇池を覗きます。
時折大きな波が打ち寄せては、岩場で砕け散っています。
うまくタイミングを合わせれば、泳いで上陸できそうです。
皆さまのスノーケリングスキルを確認してから、改めてトライしましょう。

扇池を離れてサメ池に回りかけたところで、波間に背ビレを見つけました。
2頭のミナミハンドウイルカです。
早速泳ぐ準備をしましたが、なかなか再発見できません。
まだ小さそうなコドモを連れていたので、少し神経質なのでしょう。

探しているうちに、霊岩に別の群れがいるとの情報をもらいました。
スタンバイ状態のまま、そちらへ向かうことにしました。

エントリーしてみると、2頭のイルカが猛スピードで通り過ぎていきます。
ヒトには目もくれません。
今日は波乗りを楽しみたい気分なのかもしれません。

2度目のエントリーでは、イルカが5頭に増えました。
泳ぐ速度も少しゆっくりになり、ヒトにも余裕が生まれます。

3度目にエントリーすると、イルカたちの動きが変わっていました。
イルカ玉を作って、楽しそうに遊んでいます。
相変わらずヒトには興味がないけれど、野生のイルカたちのありのままの行動を、間近でウォッチすることができました。

すぐそばを真っ直ぐ泳いでいくので、1頭1頭の顔つきまでよく分かります。
最終的に8頭になった群れは、さらに東へ向かっていきます。
私たちは、海況の穏やかなほうへ戻りましょう。

ハートロック、ジニービーチ、ジョンビーチと見て回ります。
真っ白いサンゴダストの浜と、海の青さのコントラストが美しいです。

ドルフィンスイムで身体慣らしもできたところで、扇池へ戻ります。
波の合間を縫って、無事南島へ上陸できました。
南島では今、海鳥たちが子育て真っ最中です。
尾根の上を、カツオドリが飛び交っていました。

帰り際、扇池の砂浜で、海に辿り着けなかった稚ガメを見つけました。
こういう個体は、波打ち際で放すと迷ってしまって、扇池のアーチを上手く通り抜けられないことが多いです。
アーチの外まで連れて行ってから、放流することにしましょう。
小さな頭を海面に出して、呼吸を繰り返しながら懸命に泳いでいく姿を見送りました。

お昼休憩は、兄島海域公園のキャベツビーチで取りました。
潮通しが良いぶん、水温が低いことの多いポイントですが、今年は水温が30度近くある日が続いています。
色鮮やかなサカナやサンゴを見ながら、いつまでも泳いでいられます。

午後は、イルカを探しながら北へ向かいます。
兄島、弟島の西側を走り、鹿浜で4頭のミナミハンドウイルカを見つけました。
ここは南島周辺と違って、凪いでいます。
午前中は船上からウォッチングしていらしたお客さまも、今度はスイムにトライです。

イルカたちは真っ直ぐ泳いできます。
誘うと回って遊んでくれる、フレンドリーな個体もいます。
親子でラビングしたり、オトナ同士でラビングしたり、仲の良い群れです。

けれど、野生の生き物は気まぐれです。
エントリーを繰り返すにつれて、ヒトを横目で見ながら通過していくモードになりました。
気づけば、弟島の北端まで来ていて、波も出てきました。
この辺りで、この群れからは離れることにしましょう。

二見湾内に戻り、最後に境浦の濱江丸をウォッチしました。
太平洋戦争中に座礁した船が、風雨に晒されて少しずつ朽ちていっています。
40年ほど前の、船体がそのまま残っていたころの写真をお見せすると、その違いに驚きの声が上がりました。

今日は、父島列島の南端と北端でイルカとの出会いがありました。
南から北まで船を走らせ、それぞれの島々の地形の違いも感じていただけたでしょうか。
毎日どこで出会えるか分からないイルカたちですが、明日からも、良い出会いがありますように。(KOKORO)