空一面に雲が広がっていますが、夜中の雨はひとまず上がりました。
滝之浦にハシナガイルカがいるとの情報をもらったので、向かいます。
 ぐるりと探してみたけれど、姿が見当たりません。
 ミナミハンドウイルカの目撃情報も、今のところないようです。
 このまま、外洋域へマッコウクジラを探しに行くことにしましょう。
東風が吹き始めていて、船は波飛沫を蹴立てて走ります。
 水深1,000mラインを越えて、水中マイクの準備をしかけたところで、前方にブローです!

親子が連れ立って、水面をゆっくりと移動しています。
 子供を連れた母親は少々神経質になっているのか、船が近付こうとすると浅く潜ってしまうこともありました。
 刺激しないよう、遠巻きにウォッチングしましょう。

今日のクジラたちは一頭ごとの間隔が広いようで、ブローも少々見つけにくいです。
 それでも、水中マイクを入れると、ほぼ全方位からクジラのクリック音が聞こえてきます。
 クジラたちの群れのただ中にいることが感じられます。

何度か呼吸を繰り返したあとに、逞しい尾ビレを上げて深みに潜っていきます。
 再び呼吸のために浮上するのは30分後でしょうか、1時間後でしょうか。

沿岸域に戻って、キャベツビーチでランチとシュノーケル休憩です。
 色とりどりのサカナやサンゴを、皆さま思い思いに楽しんでいらっしゃいました。

東からやってきた雨雲に追い立てられるようにキャベツビーチを離れました。
 結局追いつかれてしまったけれど、海面を無数の雨粒が穿つさまも幻想的です。
イルカを探して南島方面へ向かうと、17頭の群れに出会いました。
 島の天気は変わりやすく、ちょうど日が射してきて、海の青が美しいです。
 その中を、イルカたちはまとまってこちらへ向かってきます。

誘うと、一緒に回ってくれるイルカもいました。
 目と目を見つめ合いながら泳ぐ時間はほんの一瞬のはずなのに、なぜかとても長く感じます。

17頭ものイルカたちが海の中を行く様子は、壮観です。
 波がある海況はややハードですが、イルカたちはなんのその。
 むしろ波乗りができて喜んでいるかもしれません。

スイムに少しずつ慣れてくると、イルカたちを観察する余裕も生まれます。
 傷跡や斑点の出方、ヒレの欠け跡が個体ごとに異なるのがお分かりになったでしょうか。

最後にジョン沖に船を停めて、スノーケリングの時間を取りました。
 テーブルサンゴの周りにサカナたちが集まり、キャベツビーチとはまた違った海中景観です。

午後には雨と遠雷に見舞われたものの、ドルフィンスイムのときには雨も上がって何よりでした。
 快晴の小笠原も美しいけれど、雨に包まれた小笠原にも風情を感じていただけたなら幸いです。(KOKORO)

