前日到着したおがさわら丸から、聟島列島付近でのザトウクジラの目撃情報がありました。
ようやく彼らが小笠原近海に帰ってきたようです。
早朝のウェザーステーションに登っていつものように海を見下ろすと、ザトウクジラとおぼしき姿が見えるではありませんか。
すぐに潜ってしまい、はっきりとは確認できませんでしたが、期待が高まります。
出港して、ザトウクジラがいた方面を目指します。
早速、ブローを発見しました!
胸を躍らせながらそちらへ船を走らせていると、沖の方でハシナガイルカのジャンプが見えました。
どちらへ行こうか迷いますけど、ここはイルカに近付いてみましょう。
波に乗ったり船の舳先に寄ってみたり、敏捷な動きを見せてくれます。
スマートな流線型の身体が美しいです。
中には、まだ小さいコドモもいました。
イルカウォッチングのあとは、いよいよザトウウォッチングです。
北の海でたっぷり餌を摂って帰ってきたせいか、背中が丸々としています。
約7ヶ月ぶりに聞く「プシュー」という太い呼吸音も、懐かしく感じられます。
ゆっくりした動きで呼吸しては潜り、10~12分間隔で浮上してきます。
オトナのザトウクジラの、典型的な呼吸行動でした。
船の後ろにアオウミガメが泳いでいました。
呼吸のために顔を出して、船を見ると慌てて潜ってしまいました。
小柄だったので、まだ若い個体でしょう。
南島付近は海が荒れています。
上陸は諦めて、扇池のアーチから砂浜を垣間見ました。
カツオドリが船に寄ってきて、こちらを覗きこんでいました。
今年生まれの若鳥たちにとっては、まだまだ見るものすべてが目新しい時期なのでしょう。
イルカの正面顔も間が抜けていて可愛いですが、トリの正面顔もなかなかキュートですね。
ハートロック、ジニービーチ、ジョンビーチと見て回ります。
お天気にも恵まれ、海の青さがひとしおです。
兄島海域公園のキャベツビーチでお昼休憩にしましょう。
夏でも水が冷たい傾向のポイントですが、最近は水温が高いです。
たっぷりスノーケリングを楽しんでいただきました。
午後は兄島・弟島の西側を北上し、孫島まで走りました。
イルカの姿を見ないまま折り返すと、遠くに大きな水飛沫が見えました。
ザトウクジラのブリーチです!
速度を上げて向かうと、朝にウォッチングしたのと同じ個体でした。
少し北に移ってはいますが、潜る方向はばらばらで、移動してはいなさそうです。
しばらくは、長旅の疲れを癒すべく、父島周辺でのんびり過ごしてくれるでしょうか。
船の近くで、見事なブリーチを披露してくれました。
ブリーチはいつも突然なので、なかなかカメラが間に合いません。
全身から水が流れ落ち、身体が海面を叩く音が響きます。
帰島の挨拶のような、大迫力のジャンプでした。
水面に頭が出ると、噴気孔や、特徴的な頭の突起が見て取れます。
大きな身体が、波を掻き分けて悠々と進んでいきます。
最後は、傾きかけた夕日に照らされながら、フルークを上げて潜っていきました。
逞しい尾ビレを見送って、私たちも帰港しましょう。
まだ頭数も少なく、ツアーでコンスタントに出会えるのはもう少し先でしょうが、いよいよザトウシーズンの幕開けです。
今シーズン、彼らとのどんな出会いが待っているのか、今から楽しみです。(KOKORO)