すっかり夏になり、二見湾内でも海の青さが眩しいほどです。
出港してすぐに、ミナミハンドウイルカがいました。
朝一番のいきなりのスイムですが、海況は穏やかで、水温も心地よいです。
7頭のイルカたちが、広がったりまとまったりしながらのんびり泳いでいます。

ヒトがエントリーしても嫌がらず、真っ直ぐこちらへ向かってきます。
誘うと回って遊んでくれるイルカもいました。
イルカと目を合わせて泳ぐと、心なしかヒトの息も長くもつような気がします。
どこまでも一緒に泳いでいきたくなるようなスイムでした。

私たちがライティ・ラインと呼んでいる顔馴染みの親子イルカも混じっていました。
最近父島列島沿岸で、この2頭の姿をよく見かけます。
また遊んでね、と念じながら後ろ姿を見送りました。

船に戻って一息ついたと思ったら、前方にハシナガイルカの群れです。
100頭ほどが広がってゆっくり休息モードです。
時折、イルカ同士で遊んでいる様子も見られました。

ハシナガイルカは、スマートな身体と細長いクチバシが印象的です。
先ほどのミナミハンドウイルカとは、身体の大きさや色も、種としての性格や行動パターンも異なります。
今日は両方のイルカに立て続けに出会えたので、その違いがいっそう印象的でした。

ヒトが水中に入ることは好まないイルカですが、船には寄ってきてくれます。
軽やかな動きは、いつまでも見飽きることがありません。
得意のジャンプ行動も何度か披露してくれました。

南島、ハートロック、ジニービーチ、と見て回り、ジョン沖で早めのお昼休憩にしましょう。
今日はリピーターさんや、海外でのドルフィンスイム経験がおありのお客さま、イルカ好きの島民などで話に花が咲き、賑やかです。
スノーケリングもお上手で、テーブルサンゴに向かって何度も潜っていらっしゃいました。

午後は、マッコウクジラを探しに外洋へ船を走らせます。
水深1000mラインを越えたところで一度水中マイクを入れてみましたが、クリック音は聞こえません。
再チャレンジしようと、もう少し北へ船を走らせていたら、ブローです!

見つけたマッコウクジラは、船に興味を持ったのか、真っ直ぐ向かってきます。
すぐ近くで、四角い頭の形や、体表の皺までもはっきり見ることができました。
やがて舳先で尾ビレを高く上げ、深みへ潜っていきました。

その後も同じ群れのクジラたちが次々と現れます。
1頭をウォッチしていたと思ったら、すぐ近くの別の個体が合流して2頭になりました。
どちらも小柄に見えましたが、親子なのか仲良しなのか、いったいどんな関係なのでしょうか。

また別のクジラが、船に寄ってきます。
舳先を通過するかと思ったら、向きを変えて右舷のすぐ下を通ります。
水面下で横向きになって、船を観察しているようです。
船の下をくぐってから、仲間と一緒に潜っていきました。

クジラの姿が見えなくなったところで、クールダウンがてら一泳ぎしましょう。
底の見えない外洋域でのスノーケリングも新鮮です。
潜って耳を澄ますと、マッコウクジラのクリック音がはっきりと聞こえます。
さっき潜っていったクジラたちが、深海で餌を探しているのでしょう。

父島に向けて船を走らせていると、波間に背ビレを見つけました。
「イルカかな?」「ゴンドウでは?」とわくわくしながら近づいてみます。
野生のイルカらしいシャイさで、舳先に寄ってくることもなく、船を見るとすぐに潜ってしまいます。
少しだけ波乗りをしていた姿からして、シワハイルカでしょう。
白く尖った口先が特徴的な、外洋性のイルカです。
歯の表面に皺状の凹凸があることから、この名がつけられました。

思いがけない出会いに興奮冷めやりませんが、そろそろ帰港時刻です。
今日は沿岸域でイルカ2種、外洋域でクジラ1種とイルカ1種、という盛りだくさんのツアーでした。
中でも、なかなか出会うことのできないシワハイルカと遭遇できたのはラッキーでした。
また、関西出身のお客さまが多く、船上で溢れるパワーと飛び交う関西弁に、私たちスタッフも楽しい時間を過ごさせていただきました。
きっと、皆さまのパワーがイルカクジラ運を引き寄せたのでしょう。(KOKORO/奈良県出身)